高級レストランからホーカーセンターまで、自分のペースで食べたいメニューとシチュエーションが自在に選べるグルメ大国シンガポール。レストランで食べるメニューと屋台で食べるメニューがきちんと区別されているのもシンガポールグルメの特徴です。旅行の際は是非食したい、シンガポールならではの美味しいローカルメニューを「レストラン」「ホーカーセンター&フードコート」とシーン別にご紹介します。
シンガポール料理とは?
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多民族国家シンガポールでは、世界各国の料理がシンガポール風のアレンジ、または雰囲気で食べられます |
「シンガポール料理ってどんな料理ですか? 」ガイドをしているとよく聞かれる質問の一つ。なのですが、シンガポール料理の定義はとても難しく、頭を悩まされる質問なんです。でもあえて答えるとすれば「シンガポール料理というカテゴリーは無い」となるでしょうか。
その理由として、まず第一に、シンガポールの建国の歴史が浅いことが挙げられます。1965年8月9日に建国したシンガポールは、国として独立してからまだ44年しかたっておらず新しい国の一つ。自他とも認めるシンガポール独自の料理というものは、まだ発展途中と言って過言ではないでしょう。
次に挙げられるのが、多民族国家であるということ。国民は中華系76%、マレー系13%、インド系9%をはじめ、様々な民族で構成されています。そのため宗教も多岐に渡り、食べられる食材が違ってきます。例えば、イスラム教徒は豚肉を食さず、ヒンズー教徒は牛肉を食しません。つまり、食生活や習慣、規則が人によって異なるため、統一された国民食が育ちにくいと言えるでしょう。
シンガポール(独自の)料理と言うよりは「シンガポールらしい料理」、または「シンガポール風のアレンジが効いた料理」と表現した方がこの国のグルメを表現するとき最も自然な例えであると思います。
レストランで食べたいもの
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シンガポールで食べたいもの人気ナンバーワンはやっぱりチリクラブ! 一言でチリクラブと言ってもチリソースの味は店によって千差万別です |
シンガポール旅行の人気の理由は、やはりグルメのレベルの高さ。後半で紹介するホーカーセンターやフードコートの屋台に比べれば、予算は上がりますが日本に比べてリーズナブルなのも嬉しい。「レストラン」と括れば、イタリアンやフレンチなどの本格的なヨーロピアンレストランに、和食レストランなども当然ありますが、ここではシンガポール風にアレンジされた料理が食べられるレストランのメニューをご紹介します。日本人にも大人気のチリクラブなどのシーフードは、まさにレストランメニューの代表格。必ず押さえておきましょう!
レストランメニュー1 チリクラブ
シンガポールで是非食べたい料理として観光客から必ずと言って良いほど名前が挙がるのが、チリクラブ。蟹を丸ごと茹でてチリソースをかけた豪快な料理です。チリソースの美味しさと蟹の新鮮さで味が決まるシンプルながら奥の深いメニュー。チリクラブの蟹は、味も大きさも抜きに出ているスリランカ産が一般的です。蟹を食べ終わった後のチリソースは中国のパン、マントウにつけて残さず平らげましょう! その他、蟹好きには黒胡椒が効いたパンチのある味付けが特長のブラックペッパークラブもおすすめです。
レストランメニュー2 アヤム・ブア・クルア
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真っ黒な見た目に驚くかもしれませんが、アヤム・ブア・クルアは今まで食べたことのないチキンの味を楽しめるはずです |
シンガポールをはじめ、今世界各国の人々から注目を集めているカルチャー、プラナカン文化。プラナカンとは、14~15世紀頃中国南部からマレー半島へ移住してきた人とその文化を総称している言葉です。マレー半島の先端に位置するシンガポールにもプラナカン文化は根付いています。そしてプラナカンの女性が作る料理、ニョニャ料理はシンガポールで是非トライしてほしい味の一つ。中でも黒ナッツとチキンの煮込み料理、アヤム・ブア・クルアは必食メニュー。チキンだけでなく、黒ナッツ(ブア・クルア)の中身もスプーンで取り出して食べるのをお忘れなく。
レストランメニュー3 サテー
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基本的には屋外で食べるメニューですが、マレー料理のレストランなどでも食べられます |
マレー風焼き鳥としてシンガポールの定番メニューになっているサテー。ピーナッツソースを付けていただきます。基本的にムスリムメニューなので豚肉はなく、ビーフ、マトン、チキンが定番。ただしチャイナタウンなど中国系エリアでは、豚肉を好む中国人の為にポークサテーを出す店もあります。
レストランメニュー4 ヤムイモ料理
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ほのかな甘みが美味なヤムイモ料理 |
シンガポーリアンが大好きな芋、ヤムイモ。ヤマノイモ科の一種で東南アジアでよく使われる食材です。シンガポールでは、デザートや菓子パン、炒め物など様々な料理に登場します。その中でも特におすすめなのが、子供から大人まで大好きな甘辛い味の炒め物。ヤムイモには、滋養強壮作用や脂肪の代謝を高める効果もあるんだとか。まさに旅行中のスタミナ源にぴったりのメニューです。
レストランメニュー5 レモンチキン
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鶏肉好きなら絶対に食べたいこのレモンチキン! |
多民族国家のシンガポールでは宗教問わず食べられる鶏肉料理が人気。焼いたり揚げたり煮たりといろいろな料理法や味付けがあります。レモンチキンは揚げたチキンに甘酸っぱいレモンソースがかかった見た目にも舌にも爽やかな一品。レモンソースはお店によって味が異なるので食べ比べてみても良いでしょう。
ホーカーセンターとフードコートで食べたいもの
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インドネシア料理のアヤム・ペニャ。衣の歯ごたえが抜群! |
シンガポーリアンの庶民の味が集まるホーカーセンター。ホーカーセンターとは、小さな屋台(ホーカー)が集まる飲食施設で、屋根だけがありエアコンが無く屋外のもの。一方、フードコートはエアコン完備で屋内型です。どのホーカーも2~6シンガポールドルほどでシンガポールらしいメニューが食べられるのが魅力。最近はイタリアンや韓国料理、和食のホーカーも増えてきましたが、せっかくのシンガポール旅行、日本では気軽に食べられないローカルフードに挑戦したいですよね。マレー、インド、中華などアジア各国の味がシンガポール流のアレンジで食べやすく進化しているのが屋台メニューの特長。ホーカーセンターとフードコートに行った際は是非食したいお勧めメニューをご紹介しましょう。
屋台メニュー1 ヨントンフー
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油を使ったメニューが多い中で、このヨントンフーは素材の味を重視したさっぱりした味なので、胃が疲れているときにもおすすめです |
シンガポール風おでんのヨントンフー。どこへ行っても必ず一つはヨントンフーのホーカーがあるほど定番のローカルメニューです。まず、器に好きな具材をトングを使って取っていきます。具材は野菜、フィッシュボール、豆腐、イカなど沢山あるので好みのものをバランスよく選んでください。具材の最低個数は店によって異なりますが、7個以上が標準です。選び終わったら、カウンターで調理方法をオーダーします。ビーフンを入れてスープ・ビーフンにしたり、具材だけ茹でてもらったり、ライスを付けたりと好みの食べ方が選べます。
屋台メニュー2 ムルタバ&ロティプラタ
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それぞれオーダーするとカレーがついてくるのでそれにつけて食べます |
ムスリム風お好み焼きのムルタバ。そして小麦粉の種を薄く延ばして焼いたロティ・プラタ。どちらもマッシュルーム、チーズなど、中の具が何種類かあるので好きな物を選んでオーダーしましょう。単純に見える料理ですが店によって生地の厚さや味、形、具のボリュームも様々なのでお好きな方は食べ比べてみるのもよいでしょう。おやつにはペーパー・プラタもおすすめです。
屋台メニュー3 チキンライス
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鶏スープで炊き上げたライスも脇役ではなく主役級の美味しさです |
ローカルメニューの代表選手がこのチキンライス。日本人観光客に一番人気のメニューです。チキンは、スチームとローストの2種類から選べますのでお好みで。青梗菜などの湯で野菜とセットでオーダーできます。栄養のバランスやボリュームが欲しいときには野菜セットがおすすめです。
屋台メニュー4 ホッケンミー
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オーダーが入ってから作る出来立てのホッケンミー |
その名の通り中国福建省由来のエビ入り焼きそば、ホッケンミー。シンガポーリアンが大好きなローカルメニューです。麺を卵や肉、野菜などの具材と炒めた後、スープで蒸し上げて出来上がり。とろとろの食感が癖になる一品です。
屋台メニュー5 ラクサ
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甘みと辛味がバランスよくミックスされたスープが決め手です |
ココナッツミルクがベースになっているスパイシーなスープ麺がこのラクサ。マレー半島独特の文化、プラナカン料理の一つでもあります。食べているときはあまり辛さを感じませんが、食べ終わった後に汗がじんわり出てきます。代謝が良くなりそうな常夏の国にぴったりのメニューです。
屋台メニュー6 ローミー
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鮫肉の唐揚げ入りのローミーもあります |
あんかけスープ麺のローミー。ニンニクと生姜が利いたシーフードベースのスープはオイスターソースが加わり濃厚な味です。仕上げに好みでチリとビネガーを入れば、更にスタミナアップ。正直見た目はあまり美味しそうではありませんが、一度食べるとハマル人が一番多いメニューでもあります。
屋台メニュー7 ワンタンヌードル
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これはチャーシューも乗ったスペシャルバージョンです |
ローカルフードに抵抗のある人は、まずこのワンタンヌードルからトライ。日本でワンタンヌードルと言えばスープ麺が主流ですが、シンガポールでは右写真のようにラーメン屋のつけ麺感覚で食べられるドライを選ぶ人の方が多いようです。常夏の気候の影響があるのかもしれませんね。
屋台メニュー8 コピ
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コンデンスミルクがカップの底に溜まりやすいのでスプーンでかき混ぜながら頂きます |
シンガポールのホーカーセンターやフードコートでコーヒーと言えばこのコピ。なんとコンデンスミルクが入っています。とても甘いのですが、シンガポールの気候や料理とマッチしているのかここでは違和感無く飲めると思います。ちなみにコーヒーと砂糖のみの場合は「コピ・オ」、ブラックコーヒーは「コピ・コソン」とオーダーします。