京都の紅葉名所の中で、いち早く紅葉する三尾を訪ねてみませんか?
秋が深まる11月になると、たくさんの人が都の紅葉を求めて京都に集まってきます。数多くの寺社と共に美しい紅葉・黄葉を楽しめることから、筆者も毎年秋に京都を訪れています。今回は京都で紅葉を楽しめる名所の中から、三尾(さんび)と呼ばれる所を歩いてみましょう。
三尾とは、京都市北西部の郊外、周山街道沿いに位置する栂尾(とがのお)、槙尾(まきのお)、高雄(たかお)の総称で、それぞれに古い歴史を持つ寺社が点在しています。
世界遺産に選ばれている寺社もあり、標高が高いことから京都市内中心部より紅葉・黄葉が早く色づき始めます。京都の紅葉の名所の中でもとても人気が高い、心ときめく紅葉が楽しめる場所なのです。
<目次>
- 《栂尾/高山寺》表参道の紅葉が印象に残る世界遺産登録の寺
- 《槙尾/西明寺》鐘楼と灯籠を背景とした美しい紅葉
- 清滝川を見ながら槙尾から高雄へ、紅葉・黄葉散策を楽しむ
- 《高雄/神護寺》長い石段と広大な境内に広がる紅葉・黄葉を堪能
- 高雄橋からの美しい紅葉・黄葉は必見!
- 三尾(栂尾、槙尾、高雄)へのアクセス
《栂尾/高山寺》表参道の紅葉が印象に残る世界遺産登録の寺
栂ノ尾バス停からすぐ、高山寺の裏参道入口で見かけた紅葉・黄葉。美しさに思わず目を奪われます(2002年11月22日撮影)
奈良時代に光仁天皇の勅願により「都賀尾坊」という寺院が作られた後、鎌倉時代に後鳥羽上皇の院宣で栂尾に来た明恵(みょうえ)上人が、華厳宗復興の道場として再興したという歴史があります。
高山寺という名前は、明恵上人が寺を再興した時に後鳥羽上皇から賜った「日出先照高山之寺(ひいでて まず てらす こう ざん の てら)」という号を基につけられたとのこと。
高山寺は、京都府内の他の16の寺社と共に「古都京都の文化財」として世界文化遺産に登録されました。現在は、明恵上人が住まいとしたと言われる鎌倉時代に作られた建物、石水院が残り、他にも開山堂、金堂や石水院の中に展示されている鳥獣人物戯画などの見所があります。
高山寺の境内を彩る紅葉・黄葉を見上げます(2002年11月22日撮影)
坂になっている参道を進んでいき、拝観料を納めた後、背の高い杉や松などに囲まれた境内へ。杉や松の間に楓が植えられているので、森林浴と同時に紅葉狩りも楽しめます。
紅葉・黄葉に囲まれた高山寺の金堂(2002年11月22日撮影)
落葉した紅葉が彩る高山寺の表参道。
一直線に並べられた石が印象に残ります(2002年11月22日撮影)
紅葉のピークが過ぎると、参道は落葉した楓で埋め尽くされ、石が浮かび上がるという構図になっています。こんな所までデザインを計算していた昔の人々のアイデアに脱帽ですね。
高山寺の表参道を下りたら、バスが走ってきた周山街道(国道162号線)に出てきます。通り来る車に注意しつつ、次の目的地である槙尾へ歩いていきましょう。こちらにも美しい風景が待ち構えていますよ。
《槙尾/西明寺》鐘楼と灯籠を背景とした美しい紅葉
西明寺の表参道にある灯籠と紅葉・黄葉(2004年11月21日撮影)
栂尾・高山寺、高雄・神護寺と比べると規模は小さめですね。奈良時代に弘法大師の甥で弟子でもある智泉大徳により、高雄・神護寺の別院として創建された後、鎌倉時代に我宝自性上人が中興し、本堂などが建てられました。
その後、火事で消失しますが、江戸時代に明忍律師により再興。徳川綱吉の生母、桂昌院の寄進で本堂が再建され、現在に至っています。
表参道を上った先にある西明寺の表門。紅葉も出迎えてくれます(2004年11月21日撮影)
表参道の石段を上りきると西明寺の表門。ここで拝観料を納めて境内へ。表門をくぐると灯籠の向こうに鐘楼が見えてきました。
鐘楼の奥に紅葉・黄葉が見えるのは秋ならではの風景(2004年11月21日撮影)
西明寺境内の紅葉・黄葉。秋は紅葉狩りの人たちで賑わいます(2004年11月21日撮影)
春は桜やつつじの花が咲き、初夏はまぶしい新緑にあふれ、冬は静寂の雪景色、と四季を豊かに感じられる古刹ですので、季節を変えて訪れてみるのも良いでしょう。
清滝川を見ながら槙尾から高雄へ、紅葉・黄葉散策を楽しむ
西明寺の裏参道から紅葉に包まれた灌頂橋と清滝川を見下ろす(2004年11月21日撮影)
もし川沿いまで下りたら、ぜひ西明寺の方向を振り返ってみて下さい。お天気に恵まれれば、今見てきたばかりの西明寺の紅葉・黄葉が山間の緑と空に映える風景を楽しむことができますよ。
槙尾から高雄へ歩く道の紅葉・黄葉。この先に高雄・神護寺への参道が待っています(2002年11月22日撮影)
もちろん紅葉・黄葉も楽しめますので、沿道に出ているお店で団子でも食べながら散策を楽しみましょう。
さて、まもなく高雄に到着します。これから神護寺に参拝するのですが、ちょっとした頑張りが必要です。いざ、気合いを入れて向かいましょう!
《高雄/神護寺》長い石段と広大な境内に広がる紅葉・黄葉を堪能
金堂へ続く神護寺の石段と紅葉(2004年11月21日撮影)
神護寺は平安京の遷都に力を尽くしたとされる和気清麻呂(わけのきよまろ)が建立した高雄山寺が前身の古刹。
弘法大師や最澄も神護寺に来ており、特に弘法大師は14年もの間、神護寺で真言宗を立ち上げるための基礎を築き上げたことから、神護寺は平安仏教発祥の地とされています。
神護寺の参道は、右手の石段へ。ここから急勾配の長い石段が待ち構えています(2004年11月21日撮影)
神護寺の楼門に続く長い石段と紅葉・黄葉(2002年11月22日撮影)
長い石段の途中にあるお休み処と美しい紅葉・黄葉(2002年11月22日撮影)
長い石段を登りきった先、紅葉・黄葉が彩る楼門(2004年11月21日撮影)
神護寺の境内から見た楼門と紅葉・黄葉(2004年11月21日撮影)
神護寺の金堂と紅葉(2004年11月21日撮影)
神護寺の多宝塔と紅葉(2004年11月21日撮影)
高雄橋からの美しい紅葉・黄葉は必見!
高雄橋のたもとから眺める紅葉・黄葉。一言では伝えきれない美しさです!(2002年11月22日撮影)
高雄・神護寺へ行くためには、清滝川にかかる高雄橋を渡ります。この高雄橋も美しい紅葉・黄葉を見ることができるスポットの一つです。
神護寺へのアプローチとなる高雄橋(2004年11月21日撮影)
また清滝川沿いには東海自然歩道が整備されており、清滝から嵯峨野の鳥居本を経由して嵐山まで歩いていくこともできますので、時間と体力にあわせて動くと良いですね。
京都の紅葉の名所の一つ、三尾(栂尾、槙尾、高雄)の名刹と美しい紅葉・黄葉をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。紅葉・黄葉は京都市内中心部より早く、例年の見頃は11月中旬になります。
京都市内中心部からわずか1時間足らずですが、盛りだくさんの紅葉・黄葉を楽しめる場所ですので、三尾の紅葉・黄葉をゆっくりと歩いて楽しんでください。
三尾(栂尾、槙尾、高雄)へのアクセス
■京都まで東海道新幹線で京都へ
東海道新幹線 京都駅下車。
<飛行機>
大阪国際空港(伊丹空港)から、リムジンバス 京都駅八条口行きに乗車。
関西国際空港からは、JR西日本 特急「はるか」で京都駅へ、またはリムジンバス 京都駅八条口行きに乗車。
<高速バス>
東京駅八重洲南口、バスタ新宿等から発車する「グランドリーム」「青春エコドリーム」「グラン昼特急」(JRバス関東、西日本JRバスの共同運行)など各地から多数発着しています。
※利用状況により運休する場合があるので、事前の確認をお勧めします。
<車>
名神高速道路 京都南インターチェンジより、京都市内へ。
京都市内の西側、西京極方面を抜けて国道162号線に入るのが距離的には短いです。
しかし、紅葉・黄葉の時期は三尾に向かう国道162号線はもとより、市内全般で車があふれるため、車での移動は時間が読めず、あまりお勧めできません。
宿泊先や駅近くの駐車場に車を置いて、鉄道+バスで移動することをお勧めします。
■三尾(高雄、栂尾、槙尾)まで
三尾(高雄、槙尾、栂尾)へのアクセスは、西日本JRバスまたは京都市バスで
<バス>
JR 京都駅、JR 二条駅、阪急 大宮駅(四条大宮バス停)より、西日本JRバス 高雄京北線 栂ノ尾行きまたは周山行きに乗車。
もしくは阪急 烏丸駅/地下鉄 四条駅(四条烏丸バス停)、阪急 大宮駅(四条大宮バス停)、地下鉄 太秦天神川駅より、京都市バス 8系統 高雄・栂ノ尾行きに乗車。いずれも紅葉シーズンは臨時便の増発が行われます。
※京都市交通局と京都バス発行の地下鉄・バス1日券と京都市交通局発行のバス1日券は、栂ノ尾まで乗車できます。
■栂尾/高山寺
<バス>
栂ノ尾バス停で下車
■槙尾/西明寺
地図:Googleマップ
<バス>
槙ノ尾バス停で下車
■高雄/神護寺
地図:Googleマップ
<バス>
高雄バス停で下車
※以前は阪急嵐山駅から嵐山・高雄パークウェイを通る京都バス 90系統 西山高雄行きが紅葉シーズンに運行されていましたが、現在は運休中です。
《注意すべき点》
高雄バス停から神護寺に行くためには、いったん清滝川にかかる高雄橋まで階段を下った後、神護寺の石段を登ります。
下図に示すように、かなりの高度差を上り下りしますので時間に余裕を持って行動しましょう。
高雄のバス停と神護寺の位置関係のイメージ。かなりの高度差を上り下りしますので、時間に余裕を持って行動しましょう。
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