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新型マーチがタイで造られるワケ

日産の世界戦略車であるマーチの次期モデルだが、3月26日、世界に先駆けタイにて販売が開始された。興味深いことに、日本で販売されるモデルもタイ生産になるという。そこには一体、どんなカラクリがあるのか?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

ある意味、輸入車?

新型マーチ
タイ日産自動車会社では、2012年までに10%以上の市場シェアを達成することを目標にしている。タイ政府が施行しているエコカー政策に初めて適合する新型マーチは、その目標達成のための重要なモデルとなる

コンパクトカー市場に価格破壊をもたらすと言われ、大いに注目されているのが次期型マーチである。ベンツが日産と資本提携を望んでいるのも、次期型マーチの価格競争力&世界一優れた性能持つと評価されている日産NEC連合のリチウムイオンバッテリーに魅力を感じているためらしい。

すでに日産はプロトタイプをジュネーヴショーで公開しているが、ボディサイズに代表される詳細なスペックを公表せず。そうこうしているウチ、世界に先駆けタイ市場で市販されたのだった。こう書くと「何で日本や欧州市場じゃなくてタイなの?」と思うことだろう。

新型マーチ
世界戦略車である新型マーチは、今後、世界160の国と地域で販売される予定。今後、タイに加え、インド、中国およびメキシコでも生産される

実は次期型マーチ、日本で売るモデルもタイの工場で生産される。興味深いことに自動車の生産コストを比べると、日本が最も安い。人件費が安いタイや中国より、日本は生産効率が良いのだ。だからこそ基本的に日本で生産し、世界中に輸出しているワケ。それならどうして世界中に工場を造るか?

関税や為替の問題です。安くクルマを作っても、輸出の際、完成車に高い関税を掛けられれば実質的な生産コストは高くなる。パーツを調達するコストが割高になったとしても(重要なパーツは日本から輸出していた)、現地で組み立てた方が安く付くのだ。だからこそ、タイで生産しているフィット・アリアやトライトンなど、日本では決して安くない。

しかし。日本の労働コストが大幅に上がり、中国へ大規模な工場進出するにあたり、部品メーカーも続々と海外進出。今や大半の部品を海外の工場で安価に調達出来るようになってきた。こうなると家電や電機製品と同じく、海外の工場で生産して日本で販売した方が安く作れる。
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