ハンドリングは3列シートミニバンじゃ世界トップクラス!
7月13日発売となる新型ストリームのプロトタイプ(先行開発車。市販車と同じ内容だと思って頂いてOK)に北海道のテストコースで試乗した。どんなクルマだろうか? まずアウトラインから。御存知の通り現行ストリームは先代シビックをベースとした3列シートの乗用車型ミニバンで、発売当初は7千台以上の月販台数を記録するなど大ヒット。しかしトヨタからウィッシュというバックマーカー(同じコンセプトを持つモデル、という意味)が出るや、イッキに売れ行きは低迷してしまう。
新型ストリームを開発するにあたり、バックマーカーから簡単にマネされないよう専用の低床シャシまで専用設計し「乗用車と同じ感覚で使える3列シートミニバン」という初代モデルのコンセプトを大幅に進化させた。オデッセイと同じく全高をタワーパーキングに入れる1545mm(FFモデル)へ落とすことに成功。5ドアのHBのような一体感のあるデザインとしたのである。
搭載するエンジンも一新。シビックでデビューしたホンダの新世代エンジンであるR型(1,8リッターは5速ATと。2リッターがCVTと組み合わされる)を採用するなど、気合い十分。「これで負けたら本望です」(開発陣のコメント)。自信満々である!
乗るとどうか。なるほど仕上がりは素晴らしい! シビックで「少し高回転域の振動が気になりますね」と感じたR型エンジンだったが、エンジンマウントを改良。ホンダらしくスムーズに高回転まで回るようになった。
また、シビックでは訴求出来なかったR型の開発目標である「幅広い回転域で太いトルクを出す」をキッチリ感じます。1,8リッターの5速ATも2リッターのCVTも、それぞれの良さを引き出せている。
ちなみに絶対的な動力性能の差は排気量通りの10%といった感じ。1,8リッターに1人で乗っている時の動力性能が3人乗っている2リッターだと思えばよかろう。人を乗せた時の重量増を感じる取れる人なら、2リッターを選ぶ価値あり。感じない人だと1,8リッターで十分かと。
エンジン以上に「良く出来ています」が走りの質感。ボディをしっかり作っているため、完成度の低い日本車に乗ると感じる100円ショップの包丁のような「頼りない感じ」は全くない。5万円の名刀とまではいかないまでも、独ヘンケル社の包丁と勝負できるレベルに仕上がっている。
荒れた路面を走ってもビシッとしているし、路面の継ぎ目だって不快な衝撃を感じません。新しいストリームのハンドルを握ったほとんどの人が「良いクルマですね!」という印象を受けることだろう。
ハンドリングは3列シートミニバンじゃ世界トップ水準。けっこうウルさい私でも「楽しいし安全!」と太鼓判を推しておく。スポーティモデルに興味を失いつつあるホンダながら、ミニバンの中では頑張っていると思う。
肝心の室内スペースだが、デザインを優先した結果、3列目のヘッドスペースのみ2cmだけ狭くなった。それを除けば2列目のフロアがフラットになっているなど、先代より大幅に使い勝手は良くなっている。
価格は13日に発表されるけれど、大幅な値上げをしていないければ魅力大。というか、これくらいの完成度を持たせて売れなければ、ホンダのブランド戦略に問題があると言うことかもしれません。