SUBARU(スバル)/フォレスター

NEWフォレスター試乗(3ページ目)

“全進化”とCMで謳っているとおり、フォレスターが大きなマイナーチェンジを受け、NEWフォレスターに!兼ねてから評価の高い走行性能や燃費はどんな進化を遂げているのか?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

所有満足度高いインテリア


 試乗した2.0XSはいわゆるセカンドグレードなんですが、これだけ各所がブラッシュアップされて、17インチタイヤ(215/55R17)まで標準装備して(2.0Xのみ215/60R16)217.35万円(東京地区)はかなりお買い得だと思います。ちなみにHIDライトとナビは全車オプション扱いです。

 それでも、MOMOの本革巻きステアリングを始めATセレクトレバー(スポーツシフト&シフトポジションインジケーター付)とハンドブレーキレバーも本革だし、クリーンフィルター付きフルオートエアコンや100WのCD&AM/FMチューナー一体オーディオ(4スピーカー)なんかまで標準装備でしょ。この価格で世界最高レベルの4WD(リアにはビスカスLSDも入る)モデルが買えると考えれば十分リーズナブル。

 使い勝手の面でもアンサーバック機能付電波式リモコンドアロック(ハザードランプ・オフディレイルームランプ連動)やキズや汚れに強いハード加工のラゲッジ(タフカーゴ)など、機能性の追求も見逃せません。ただ、1つ気になったのがシートの座りごこちです。新たに撥水加工を施したファブリック地(運転席ダイアル式スーパーシートリフター付)のシートになったんですが、イマイチ形状が良くないと言うか不必要な硬さを感じるんですよね。多分、小柄な人が座ったら余計にそう感じると思いますが……。

 シートは日本車の永遠の課題みたいなところ。特に撥水加工を施したという素材的にも座りごこちを追求するには難しいものを使ってるから、慣れ不慣れを含めて考えてもまだ改善すべきところはある。とは言っても、インテリア全体としては雰囲気凄く良くなったよ。
 クオリティーの高さを感じる質感になりましたよね。より乗用車に近くなったというか、現行レガシィで大幅に質感アップしたインテリアの仕立て具合がフォレスターにも活かされているような気がします。

 ダッシュパネルなんかも味気ないプラスチックっぽさが上手に処理されて手触りも良くなった。これくらい品良くまとまっていると毎日乗っても満足度高いと思う。

 個人的には使い慣れないせいかATのシフトレバーの操作性がもう少し良いと思うんですよ。位置的に上から握る感じになるんですが、その割りにリリースボタンが手のひらで押せない作りになってるんですよ。個人差(座高が高い人は特に)もあるでしょうが設計通り親指で押すように握るにはちょっと不自然な角度から腕をもっていかないといけない感じになります。欲を言えばゲート式にスポーツシフトを組み合わせているレガシィのATセレクターがあるんですから、それを流用して欲しかったですね。

 まあコストな問題もあるから何がなんでも良いものばかり盛り込むわけにもいかないでしょう。どうせ流用するなら5速ATも一緒にした方が生産性は高いだろうし、しないならあくまでインプレッサベースで構成した方が効率的なクルマ作りができるんだからさ。

 確かにマニュアルのように頻繁に操作するものじゃないですから、あまり気にしない人にとっては些細なことかも知れませんが・・・・・・。まあ、噂によればこのフォレスターをベースにしたSTiバージョンもあるということですので、コストよりもドライビングプレジャーを追求したフォレスターがどんなこだわりを持って登場するかに期待したいです。

 STiバージョンについてはまだ何も情報が無い状態だけれど、前回のモデルは楽しさの塊のようなクルマだったから、もし新型があるとするならばポルシェカイエンのようにダイナミックな走りに加え、プレミアムモデルとして他を圧倒する存在感を持ったSUVを目指して欲しいと思う。

マイナーチェンジされたフォレスターのエクステリア、特にフロントマスクについてはおそらく良し悪しの意見が分かれるだろう。スタイリッシュになったと感じる人もいれば、ボクの友人などは「グリル周りがダースベイダーみたいで……」とあまり好意的ではないようだ。しかし、実際に運転してみると論じるべきは外観ではないということがはっきりと分かった。もちろん、クルマにとって見た目が大きな商品力となっていることは否定しないし、マーケットにおいてスバルがその点で逆境に立たされ、マニアックなクルマのイメージができてしまったこともまた事実。けれども、「乗れば良さが分かる」がスバル車の歴史の中で繰り返されるうち、近年それが少なからずブランド性を帯びてきたとは思わないだろうか?

カエル顔のスポーツカーが美の代名詞ともなるフェラーリと双璧を成すブランドとして認知さる大きな要因は、一貫して走りを大真面目に追求する姿勢が育て上げたものに他ならない。そんな風に考えながらフォレスターのステアリングを握っていると、共に水平対向エンジンを使うメーカーどうしということ以上に、クルマとしての本質を日々追い求めるスタンスにこそ相通じるものを持っているのではないかと思った。

Text:KUNISAWA.NET 山崎 裕正
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