快適性高い室内空間
試乗車は15S Vパッケージ(フォグランプなどオプション別)。 |
走りが良くて、快適で、たくさん積める。ノートの開発コンセプトは現代のクルマに求められる“性能”を全て高いレベルで達成しようという欲張りなものだ。しかも使用頻度の少ないと思われる過度なシートアレンジなどは敢えて採用せず、基本性能の範囲内で優れたコンパクトカーを成立させようとしている。 運転席に座ってまず感じるのは、とても自然な感覚だということ。運転に自信のない初心者でも、すぐにリラックスして乗れるような日常的な雰囲気を持っている。見方を変えればあまり新しさを感じないとなるかも知れないけれど、全体として飽きのこないデザインでまとめられており居心地は悪くない。シートの座面がやや前傾している気もするが、これは小柄な女性ドライバーを意識してのことだろう。
視界良好で清潔感あるインテリア。 |
早速Dレンジを選択して走り出してみる。思った通り運転しやすさ抜群。車両感覚は非常につかみやすく、混雑する街中でもすぐに自分のクルマのような気分で走らせることができた。アクセル・ブレーキペダルとも適切な踏力で操作できるから、細かな動きを強いられる状況でも必要以上に気を使うこともなし。常にリラックス状態を保てることも幅広いユーザーに対応しなければならないコンパクトカーとして合格と言える。 ノートは基本構造をティーダと共用しているため、ドライブトレーンも同じものを使う。そのため、他のメーカーのコンパクトクラスが1リッターや1.3リッターモデルをラインアップしているのに対し、ノートは1.5リッターエンジンモデルのみ。その理由をエンジニアの方に聞いてみると、「今までのコンパクトカーは動力性能に弱点があるものが多く、気持ち良く走ることができませんでしたから」。確かにノートの加速、トルクフルでアクセルを踏み込んだときのピックアップが良い。 エンジン単体で見ると出力109馬力でトルクが15.1kgm。これ、価格的に拮抗するフィットの1.3リッター(Aグレード:120.75万円、86馬力/12.1kgm)よりそれぞれ23馬力、3kgmも大きいのだ。ノートの方が約70kgも重いけれど、登坂路の続く山道や高速道路での追い越し加速では圧倒的に余裕がある感じ。ただし、4000回転以上になるとやや耳障りなメカニカルノイズが目立ち、フィーリングが悪化してしまう点は要改善。新型エンジンの熟成不足のためか、やや洗練度に欠けるところが非常に惜しい。