現行インプレッサはデビューした時からスタイルに対する評価が割れていた。というより現行インプレッサのスクープ記事出た途端、イッキに従来型の在庫が無くなったという逸話さえあるほど。もちろん「ユニークな丸目2灯式でカッコいい」という意見の人も少なくないようだけれど「好きでない」と言う声に負けていたと思う。少なくともヨーロッパやオーストラリアでの評価は非常に厳しかったそうな。だからこそスバルもインプレッサをマイナーチェンジするにあたり、レガシィのような小変更でなく、ガラリとイメージまで変えてきたのだろう。今回のフロントデザインに対する評価は「これまでより全然いいです」(ディーラー情報)。
実はインプレッサにはもう一つ大きな弱点があった。それは「ランサーエボリューションに性能で負けていた」こと。2リッターエンジンのまま先代モデルより重く大きくした結果、どうしても加速性能が悪くなってしまったのだ。シャシ性能の向上でコーナリング速度は速くなったけれど、ミニサーキットなどでタイム計測すればサンラーの後塵を拝すことに。この手のクルマは速さが何より重要。危機感を持ったスバルの開発陣は急遽「スペックC」と呼ばれる軽量化バージョンを開発しリリース。しかしモータースポーツ用のベース車輌という位置づけだったこともあり、安全性確保のためのサブフレームなど省略するなど過渡的なものになってしまう。
マイナーチェンジしたインプレッサは、こういった弱点を全て無くそうと気合い入れたそうな。試乗してみると「凄いね!」である。タービンや排気系の取り回しを変更した成果がハッキリ出ており、パワー&レスポンス共にマイナーチェンジ前と比べモノにならないほど速くなった。絶対的な立ち上がり加速だって従来型インプレッサにさえ勝るとも劣らない感じ。また、センターデフをWRCのラリーカーのように電子制御化。アクセル全開でコーナー立ち上がってもアンダーステアに悩まされることが無い。標準のSTiバージョンでさえ、前期型のスペックCと比べても負けていないくらい速くなったんじゃなかろうか。技術の進歩って驚く。
続いてスペックCに乗ってみたら、当然ながら一段と速い! 今回はサブフレームを廃止せず、装備の簡素化や薄い鉄板の使用、ガラスの薄厚化など軽量化の王道を選んだ。車重は標準のSTiバージョンより90?も軽くなっている。これだけ軽くなっていると乗ってハッキリ解るほど。一段と煮詰められた足回りは、マイナーチェンジ前のインプレッサで悩まされたアンダーステアがハッキリ軽減され(というか競技に出るドライバーでない限りアンダーを感じないと思う)、文字通り意のままに走るクルマになったと思う。ロールバー組むだけで、WRCグループNでトップ10の成績を挙げられるんじゃなかろうか。ぜひとも試してみたいです。