CONTENTS
Page1:物としての色を体験するワークショップ
Page2:絵の具づくりのプロセスと成果
絵の具づくりのプロセス
松本:絵の具づくりのプロセスをご紹介いただけますか?
片山さん:まず、採取した土の大きなごみを取り払い、乳鉢ですり潰し、ふるいで漉し、絵の具のもとになる顔料を作ります。
採取した土の大きなごみを取り払い、乳鉢ですり潰す。 |
鉱石の場合は金床と金槌である程度の細かい粒になるまで砕き、それをさらに乳鉢ですり潰しふるいにかけ顔料を作ります。
鉱石のような硬い物の場合は金床と金槌である程度の細かい粒になるまで砕き、それをさらに乳鉢で潰す。 |
ふるいは顔料の粒子のあらさを決めますので必要に応じて何種類かのふるいを用意します。
すり潰した顔料をふるいにかけていく。粒子のあらさによって、色の見え方が異なる。 |
出来た顔料に溶剤(接着剤)を混ぜて絵の具になるわけです。
油絵の具の場合は亜麻仁油(リンシード)を適量混ぜ練り上げます。水彩絵の具の場合はアラビアゴム、日本画の場合は膠を混ぜるといった手順です。
顔料を亜麻仁油(リンシード)で練ると、油絵の具ができる。 |
松本:.ワークショップをやってみて気づいたことはありますか?参加者の反応はいかがでしたか?
片山さん:様々なプロセスでふだん気が付かないことを発見することの連続です。もちろん身近なところで土探しといっても簡単にそんなにたくさんの色の土が見つかるわけではありません。みんなで山に行き地面とにらめっこをしながら土探しをします。これは理科の野外学習のような感じですね。土にこんなに色のバリエーションがあるということに気づかされます。漉したときに滑らかな粒子の山にはみんなその美しさに感動です。あたりまえのことですが身の回りにあることの細部と会話をすると様々な発見があります。その後皆さんどこに行っても土を見てしまうと言っています。
山へ行き、土を探す。身の回りにあることの細部と会話することによって、様々な発見がある。 |
<プロフィール>
片山雅史さん
美術家として活動、国内外で作品を発表。絵画、版画、ドローイング等の作品発表のほか、コミュニティーアート、ワークショップ等を手がける。近年は「皮膜」と題された向日葵の花芯や池の水面をモチーフにした絵画作品を描いている。現在 九州大学大学院芸術工学研究院准教授
京都市立芸術大学美術学部西洋画科卒業、同大学大学院美術研究科修了,1988年A.C.C.(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の招聘により渡米(在ニューヨーク)、1995年文化庁派遣芸術家在外研修員として渡英(在ロンドン)
片山雅史さんの作品『皮膜2004-千の光』 向日葵の花芯部や水面の煌めきなどの自然界にある造型パターンを拡大し1000個の円形パネルに描いた作品。 表面は見る人の五感を引き出すよう様々な質感にになっている。 |
<最近の主な展覧会>
2004年片山雅史展 皮膜2004-知覚の森へ・福岡市美術館、色の博物誌・黄・目黒区立美術館、2005年「両洋の眼」三越美術館2005年CITY
NET ASIA2005、ソウル市美術館(ソウル、韓国)2007年Domani2007「明日」展 損保ジャパン東郷青児記念美術館(東京)第3回成都ビエンナーレ、成都現代芸術館 (成都、中国)他
※記事の更新やカラーコーディネートの情報を満載したコラムをガイドメルマガにてお知らせします。ご登録はこちらからどうぞ。
【関連記事】
カラーデザインからみるグッドデザイン2007 | |
「2007年を色で表わすなら?ベスト5」 | |
2007秋冬トレンドカラーの活用術 |