高学年児童への指導・・・実は難しい
国際理解教育も根強い。英語教育を通して国際理解教育をするという考えもあるが、中途半端になってしまう現状である。英語教育と国際理解教育はどちらも大切。 |
私自身、小学校の現場で5年間指導してきましたが、高学年児童への指導はいつも頭を悩ませています。というのは、高学年児童の発達段階は非常に複雑で、聞く、話すだけを主とする指導法に限度を感じます。中学年までは、ノリノリの活動が、高学年になったとたん興味をもたないものになってしまう・・。
英語教室の場合、フォニックス(英語の音のルール)を段階的に指導してきて、高学年から本格的に読む、書く指導も多くなります。つまりそれまでの積み重ねが、高学年になってようやく花開くという感じでしょうか。
小学校英語がスタートした当初は、聞く、話すを中心にするコミュニケーション活動を主体とする英語活動が組まれていました。読み、書きはどこにもなく、読み、書き活動は英語嫌いを作るという理由で避けられていました。でも、高学年児童は英語の読み、書き活動にも大変興味をもっています。文字への興味が高まるのは自然の流れです。高学年児童には、彼らの発達段階に合わせて、興味・関心を高め、知的好奇心を満足させる内容が必要になってきます。3年生ぐらいから読む、書く活動が少しずつ導入されて、5年生から本格的になるのが理想的なのですが、現状を考えると、いきなり英語教室のような手法を導入するのは大変無理があるように思います。
児童の個性が分かれていく時期
ある女の子の例です。彼女は非常にシャイでおとなしく、あまりワイワイと話しません。しかし、英語は好きな様子。彼女がもっとも得意としているのは書くことでした。性格上、書くことが好きで、英語をノートに書く活動を好んでいました。しかし、英語劇には乗ってきません。劇になるとイヤでイヤでたまらないようでした。
次はある男の子の例です。彼は手を挙げて発言もよくします。先生と話すことが好きな様子で、日本語でも英語でもコミュニケーションを楽しんでいます。でも算数は大の苦手。算数を利用した英語学習にはイヤな顔をしています。
成長期に子供が嫌がることを避けていては、健全な人間形成は期待できないので、イヤなことでも取り組ませることは大事です。しかしバランスが大切でしょう。どの子供も英語で楽しいと思える場面、苦手な場面があるはず。このようなことを考えると、児童への英語教育に奥深さを感じますね。