幼児英語教材セットの価格
幼児向けの英語教材セットは、2歳までの子どもを持つご家庭が購入する割合が一番多くなっています。価格は30万~40万円ほどが主流。高額なものは100~120万円ほどになることもあります。セットを小分けにしたバラ売りもありますが、小分けで購入しても、その後の販売セールスには覚悟が必要かもしれません。ローンで購入した英語教材もいつのまにか押入れの中に?!
「英語教材は欲しいけど無理」と思って最初はあきらめます。でも、何でも吸収する幼児のうちに英語に慣れ親しませたいと考えると、この時期をみすみす逃せない。だからローンを組んで購入することを選び、教材が届いた日からビデオを観たり、カードリーダーで遊ばせたりします。
でも、そんなことは長くは続かないですよね。いつのまにか幼児英語教材セットは押入れの隅に入れられ、リサイクルショップやメルカリ、Yahooオークションで売買されていたりします。英語教材セットはいろいろなグッズを付けて販売しているため品物数も多く、置き場所に困ることもあって、子どもが興味を失い、だんだん使わなくなるとその始末に困ることが多いようです。
高額英語教材のセールストークに惑わされるな!
たいていの幼児向け英語教材セットは、デパートやショッピングモールでは購入できません。訪問販売、ダイレクトメール販売、ネット販売などです。1~2歳の子どもをもつ家庭に英語教材のダイレクトメールが届くことはよく聞きます。また、少しでも興味を持って問い合わせるとすぐに教材販売のセールスマン・セールスウーマンが家にやってきます。 そして、玄関先に座り、長々とトークを繰り広げます。幼児からの英語教育の素晴らしさを説き、自社の販売する教材の良い点を語り始めます。
このような営業が語る内容はだいたい決まっており、幼児の言語脳のことが中心です。ビデオについても内容はさておき、英語の音を聞かせておく重要性を説いたり、子守ビデオにならないように英語で遊ぶ手ほどきまでしてくれます。
そして母心をくすぐる一番のツボを心得たセールスマン・セールスウーマンは、実際に子どもを相手に英語遊びをしたり、サンプルビデオを見せて、子どもが喜んで夢中になっている姿をママに見せます。 ここで気を付けてほしいのは、「こんなに喜ぶなんて、うちの子は英語が好きに違いない」と思わないことです。どの子も同じ反応をしますからね。褒め上手ですから、惑わされないようにするほうが賢明です。
こんな内容ならダメダメ教材
さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題の「教材の判断基準」についてお話しましょう。中心教材は以下の3つです。1)ビデオ・DVD
*意味のわかる画像とクリアな音声
2)英語音楽CD
*リズム・アクセント・抑揚
3)カードリーダー・タッチペン
*音声録音・リピートが可能な仕組み セット教材はこれらがセットになっています。さらに付け加えて、ブロックやポスター、パペットなどのぬいぐるみ、英語絵本、関連オモチャなどで付加価値をつけています。さらに、その他のメリットとして、ユーザー向けの英語イベントも参加可能(有料で)付いています。多くの幼児用の英語教材セット(高額なセット)を見せてもらいましたが、以下のような私の感想です。
「うわぁ、英語教育的に考えられて作られている!」と感動した教材、
「なんだ、これは?見ててもつまらないビデオ……」と思った教材、
「2・3歳児を対象にするわりには、言語(単語)が意外に難しい」と思った教材、
「なんだか安く作って高く売っているイメージ……」と思った教材、
「ストーリーが面白い、アニメもきれい」と思った教材、
「いらないオモチャが付きすぎている……」と思った教材、
など、いろんな感じを受けました。幼児向き英語教材セットは高額なので、自分の満足いくポイントをしっかり押さえることが必要だと思います。次に1~3についてのダメ教材の内容を述べていきます。
ビデオ・DVD英語教材のダメダメポイントは?
単語ばかりがやたら多く出てくるものはダメ。幼児の英語教育では単語を多く覚えることを目的とはしていません。英語文章を丸ごと聞いて、独特のリズムを習得し、語感を育てるものです。私が見たダメダメ英語ビデオは、意味のないキャラクターが出てきて、単語だけを発音していました。■見極めポイント1:
文章と単語のバランスがよくて、単語の発音だけの場合も意味ある場面でリズミカルにして発音していくものを選びましょう。 幼児の場合、一つのストーリーに日本語と英語が交互に出てくるものよりも、日本語と英語の切り替えができるものにしましょう。ポイントは、丸ごと英語を聞かせることができるかどうかです。幼児はイラストでイメージを膨らませながら、意味を推測して聞きます。ビデオ・DVDの一本ずつの時間が30~60分ほどのものを選びましょう。例えば学習ビデオ1本が30分で12本セットあるものに比べて、各15分で12本セットでは損です。
■見極めポイント2:
幼児の視聴時間を気にして1本を短時間にしてあるものもあります。その場合は本数が多いはずです。セット全ての時間数がどのくらいあるのか確かめておきましょう。 ストーリーの楽しさの先に得るものがない教材はダメ。英語教材ですから、いくらアニメで子供の気を引いてもそこに「学び」がないと意味がないです。ネイティブのお姉さんが出てきて英会話をする、単語入れ替えの練習をするなど、そのようなタイプの英語ビデオは買わないでほしいです。
■見極めポイント3:
英語に接する時間が少しの時間でも幼児の学びは大きいものです。英語が雑音にならないよう幼児の発達段階に適した内容のものを選びましょう。
英語音楽CDのダメダメポイントは?
幼児向けの英語教材セットに付いている音楽CDは、ビデオ内で使用されている英語教育用のオリジナルソングをCD化しているものと、世界で歌われている一般的な曲をCDに収めているものに分けられます。 丁寧に作られているほうは前者で、一般曲を収めているものは市販で安く購入できます。もし、英語音楽CDだけ欲しいのなら、セット教材は購入しないほうが得です。■見極めポイント1
英語教育用のオリジナルソング(文章の口慣らしのためなどの歌、リズム習得のための歌)なのかどうかを見てください。一般的な英語歌は他にもたくさん安価で販売されていますので、わざわざセット教材を描く必要はまったくありません。曲数もチェックしてくださいね。たくさん入っているほうがお得です。
■見極めポイント2
一般的な英語歌のCDは、歌詞が平易で、子どもがまねして歌えると感じるものがたくさん選曲されているものを選びましょう。例えばですが、世界を席巻したピコ太郎のPPAPはリズムも簡単で歌の長さも1分ほどで子供が歌いやすいですね。
英語教材カードリーダー・タッチペンのダメダメポイントは?
子どもが自律的に使うのはカードリーダー、タッチペンです。カードリーダーは磁気テープが付いたカードが動きながら音声が出ます。タッチペンは絵本や絵辞典をタッチすると音声が出ます。これらはおもちゃ感覚で子どもたちの興味を引きますね。録音機能も付いていますから、録音した自分の声をあとから聞いて発音を確かめることができます。■見極めポイント1
英語教材セットのカードリーダーだけ欲しいと思っても、セットですからバラ売りしてくれないでしょう。しかし、最近では性能も良く内容も良いカードリーダーが売られています。カードリーダーだけ欲しい人は、1~4万円ほどで上質な物が手に入ります。また、タッチペンも多くの出版社から千円単位で安価に販売されています。
見極めポイント2
フォニックス指導法を考えられて作られているかどうかを確かめましょう。フォニックスは音素と文字をつなぐ指導法なのですが、母語でも第二言語でも英語学習に大変有効な方法として知られています。
見極めポイント3
収められている英語表現数、単語数をチェックしましょう。最低でも500単語以上で英語表現も豊富に収められているかどうかです。
実はもう、セット教材でそろえる必要がなくなった
2020年の今、私は、もう幼児英語教材をセットで買う必要がなくなったと思います。幼児英語教材をセットで買う理由は「利便性」だけでしょう。今はそれだけ多種多様の幼児用英語教材が巷にあふれています。そして、最大の理由として英語教材のツールが大きく変わったことです。タブレット、iPad、スマートフォンでインターネットにつながる環境があれば、いつでもどこでも自律した学習が可能ですし、英語教育のクオリティも高く、見極めポイントであげたような学習が簡単にできます。そして、何と言っても価格が安いです。
2020年春からの新型コロナウイルスの蔓延で、コロナ禍の自宅で学習するツールとしてオンライン学習が盛んになりました。今後も幼児向けのオンライン学習サイトが増えていくと予想されます。そして、今後は従来のような幼児英語教材セットは出てこないでしょう。発売しても売れないことがわかっているので企業側も新規開発には慎重になっていますから。新しいものなら、子どもが好きなアニメキャラクター、例えば、目新しいところで英国アニメのPeppa Pigなどに便乗した商品が増えていくだろうと推測します。