今回の記事はサンフランシスコで取材しました。英語が「使える」大人になった例をご紹介します。海外で英語を使って、毎日生き生きと生活している大人たちお二人です。
「子どもの頃から英語が好きでしたよ。」という高波喜一郎氏(37)。彼は現a在、M社に勤める商社マン。仕事で英語を使う毎日。海外出張も一人で出かけ、レンタカーを借り、外国企業を訪問し、バリバリ仕事をしています。「忙しいんだよ~。」が口癖のよう。
■英語教室へのキッカケは母親の一言 |
小学生5年生の時、母親からの一言とは・・
「学習塾へは行かなくていいから、英語だけはやっておきなさい。」
と言われたそうです。いわゆる「勉強」はしたくない少年でしたから、「英会話」というちょっと面白そうな世界に飛び込みました。彼の通った英語教室はネイティブの先生のいるところ。当時では珍しい英語教室ですよね。横浜というロケーションも良かったのでしょう。そして2年間、英語教室に通いました。彼が英語教室に通ったのはこの時期のみ。その後の英語学習は学校で学んだだけです。中学から高校までは部活熱心な野球少年になっていました。
大学では理系に進み、その後就職。ここから彼の英語習得への道がスタートします。M社では社員の英語能力のグレートテストをしています。それにより、海外出張、海外駐在の仕事が任されるという仕組みになっているそうです。
■必要に迫られての英語学習 |
「商社にいる限りは、やっぱり外へ行って活動したいですからね。」と高波さん。「英語学習は辛かったですよ。最初に受けたグレードテストでは最低レベルでしたから。」その最初のスコアにショックを受けた彼は、自分の英語力をアップさせるために、個人レッスンなどの猛特訓を開始。多額のお金と時間を費やしました。「今では笑い話ですが、会社で海外から電話がかかってきても英語で話されると、すぐ切っていましたよ。周囲には間違い電話だって言ってました。(笑)」。
そして念願の海外出張へ。そこで現実に直面。自分の英語がまったく使い物にならなかったことに大ショック。知識と会話はまったく異なる・・と痛感したそうです。その後も英語学習が続いていましたが、企業留学に応募し、2年間のアメリカ留学、米国通信機器メーカーでのインターンシップを経験しました。実践に伴い、かなりの英会話力もついていきました。帰国後しばらく東京で勤務していましたが、元来の好奇心と努力でMBAを取得。現在は東京で仕事をしています。今では英会話も軽くこなし、世界のビジネスの舞台で大活躍しています。ここまで来るのに15年。すごい努力家ですね。
■やはり英語は道具。英語以前に人間性を育てたい |
11歳の男の子を持つお父さんでもある高波さんは、子供の英語教育に以下のような意見を持っています。
「親が理解しなければいけないことは、単なるバイリンガルを育てることは全く無意味だということ。まずは子供自身の人間性を育てることが大事です。それは英語学習以前の問題かも知れませんが、「英語を道具として使える人間」が日本人として世界を相手に仕事するときに必要なんですよ。」
まさに実践から出る言葉ですね。そんな高波さんでもいまだに英語に対する自信はないといいます。英語はダイレクト表現が多く、微妙なニュアンスが伝わりにくいので難しいそうです。彼にとって日常会話の方がビジネス英語より難しいそう。ビジネス英語は予想がある程度つくので使いやすいようです。「英語で一番難しいのはリスニングですね。世界にはいろんな発音の英語があるから聞き取りが本当に難しいです。」彼のこの言葉に、子供の英語教育のとるべき姿があるように感じました。
さて次のページではもう一人ご紹介しましょう。
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