昔の日本人、アフリカやアメリカでも実践!
赤ちゃんがおむつをするのは当たり前と思っていたところに、「おむつなし育児」は、とても画期的のように思えますが、三砂先生らの調査研究によると、実は昔の人はそれを実践してきたとのこと。戦前の雑誌「主婦の友」には、「おむつは2ヶ月でとりましょう」という記事が掲載されていたそうです。スリングに肌身離さず赤ちゃんを抱っこして育児をしているアフリカなどでは、まったくおむつなしで子どもを育てています。赤ちゃんがおしっこやウンチをしたそうだと察知したら、スリングからサッと出して、「シューシュー」とおしっこの声まねをしてあげると、そのまま排泄して、終わったら、またスリングに入れる、という方法です。
東南アジアなどでも、赤ちゃんの時代におむつはせず、主に裸のままで育て、そのまま外に排泄させているところも多いとか。そういえば、おむつは先進国でしか見かけないですよね。
その先進国であるアメリカでは、「エルミネーション コミュニケーション(EC)」が注目されています。これは、「排泄コミュニケーション」という意味。「おむつなし育児」と同様、生後2ヶ月くらいからの赤ちゃんの「排泄をしたい」というサインを読み取り、母親がそれに応える形で始める、ひとつのコミュニケーションの方法です。赤ちゃんの要求を受け止めて、トイレやおまるで排泄をさせてあげます。この方法で、ゼロ歳児でもトイレやおまるに排泄できるようになり、1歳半くらいでおむつが完全に取れてしまった子もいます。
私が去年ニューヨークに行ったときも、自宅出産をケアしている助産師さんが「私は2ヶ月からおむつしていないわよ」と聞き、驚きました。アメリカでは、ECで育てている方が増えているそう。ニューヨークなどでも、まだまだ主流ではないけれども、自然なお産・育児をすすめている助産師の間では、ずいぶん広まっているようでした。私の教室に参加していただいたアメリカ人の方からも「日本ではECについてはどうですか」とご質問を受け、「今、三砂先生などの研究者も提唱されて、注目されつつありますよ」とお答えしました。