妊娠期間は生き方をリセットする期間
思い通りにならないことを受け入れることで人は成長する |
最近お会いした津田塾大学教授の三砂ちづる先生は「助産院は生活改善道場だ」とおっしゃっており、私も初産のときの助産院で「和の暮らし」の原点回帰ができたことを思い出しました。旬のお野菜を中心に、四季の流れに沿って手作りを大切にした暮らし方を、心身に芯から刻んでもらった経験だったのです。
お腹の赤ちゃんのためになる生活を心がけることが、その女性のクオリティーオブライフ(生活の質)を向上させる生き方にリセットできる。もし、子どもを生まなかったとしても、ずっとハードペースで仕事を続けていたら、体を壊してしまうかもしれません。ハードに仕事をしている人は、達成感がある反面、時折「このままでいいのだろうか」と考えるときもあるはず。しっかり見直してみるチャンスは日々の中にあるはずなのです。
こうした妊娠期間を経て、出産・育児、そして自分のペースで仕事に復帰を遂げて社会人としてひと回り大きく成長したとき、「本当の意味で自尊感情の持てる生き方ができるようになった」と喜ぶ女性に数多く出会ってきました。
産み育てることに不安がある方へ
私は「命を産み育てる楽しみを伝える」というバースコーディネーターとしての仕事を通して、新しい命の誕生のご報告を聞くときほどうれしいことはありません。「産まれたよ」その言葉で、確実に未来は続くんだという高揚感でいっぱいになります。「産みたいのに産めない」という不安にとらわれている女性が多くいます。「こんな時代に……」「仕事はどうなるの!」「子育ては大変だから……」など、そんなネガティブな思いを払拭する根拠のある情報を、『案ずるより産むが優し』(扶桑社刊・7月3日発売)として一冊にまとめました。「子どもを産み育てることの不安を取り除く」というバースコーディネーターの役割だと思っていますし、今はわたしのような働く女性が母になる時の伴走者のような存在もまた必要な時代だと思っています。ぜひ「産みたい」という気持ちを育てることからスタートしてみてください。
思い通りにならないことを受け入れ人は成長する
マスコミでは、これから格差社会になると盛んに訴えています。高度成長期の「一億総中流意識」から脱しただけで、格差なんてきっとこれまでもあったと思います。不安を煽られて「産みたい」という未来へつながる光のような思いを消してしまわないでください。人生は思い通りにはならないのかもしれません。子育てだって、実は思い通りにはなりません。前述の三砂ちづる先生は著書『オニババ化する女たち』の中でも「思い通りにならないことを受け入れることで、人として成長するということに、女性たちが気づき始めた」とおっしゃっています。案ずるだけでなく、子育て支援制度が整うのを待つのではなく、自分自身の幸福と成長をもたらし、「未来へつなぐ子ども」を迎え、育んでいきましょう!
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