世界では「1分に1人」の割合で、妊産婦死亡が起きている

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親子の笑顔が素晴らしいアフリカの国々。しかし、そこでは妊娠・出産は女性のおもな死因のひとつです。(C)ジョイセフ
最近、妊婦さんの救急の問題、お金がなくて妊婦健診を受けない妊婦さんのことが問題になり、安心して産める体制作りが日本でも強く求められるようになりました。しかし、それでも日本の妊産婦死亡は世界一低いレベルにあります。

海外に目を向けると、日本人には想像もつかないほどたくさんの妊婦さんが亡くなる国がいくらでもあることに気づきます。世界中では「1分に1人」の割合で、妊娠・出産のためにどこかで女性が命を落としていると言われます。そのほとんどは途上国で起きており、日本であれば亡くなるはずがない理由による死亡です。

2009年11月、国際家族計画連盟(International Planned Parenthood Federation: IPPF)事務局長のジル・グリアさんが来日され、外務省などに出向いて途上国の妊産婦を取り巻く課題に対する理解と支援を訴えました。その合間を縫って、地球規模で「安全なお産」を実現するためには何が必要なのかをうかがいました。

出産に立ち会う医師や助産師がいない、そして絶え間なく続く「望まない妊娠」

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国際家族計画連盟(IPPF)事務局長ジル・グリアさん。途上国の女性を支援するエキスパートです。
こんなにたくさんの女性が妊娠、出産で命を落としている理由を、まず教えてください。

グリアさん 出産というものは天からの贈り物で素晴らしいことです。でもそのために、わかっているだけで少なくとも年間50万人以上の女性が命を落としています。この数字はこの15(20)年間ほとんど変わっていません。そのほとんどはアジアやアフリカのサハラ以南の国々に集中しています。
その死亡の三大原因は、出産に立ち会う技術を持った専門家が足りないこと、いざという事態に対応できる医療サービスが不足していること、そして家族計画ができないことですが、他にも理由は山のようにあります。そもそも医療、保健のシステムが整っていませんし、女性が性や出産のことを自分で決められず男性にはノーと言えない問題があります。児童婚もよくあることなのです。


身も心も未熟なまま妊娠し、命を落としていく10代の少女たち

児童婚とはどういうものですか。

グリアさん 10~12歳の少女たちの妊娠です。国によっては、男性はごく若い女性と関係を持っていることがステータスになります。「シュガー・ダディ」と呼ぶのですが、裕福な年長の男性が「お菓子をあげるから」といった誘惑をして、少女たちがなかでなかば強制的にセックスを強いられているのです。子どもがたくさんいることが誇りになっている文化もあり、そこでは避妊の知識はなかなか根付きませんね。

ローティーンがどんどん妊娠していくのですか。そのように女性がものが言えない立場にあることが出産の危険につながるというところを、もう少し詳しく教えてください。

グリアさん 若い未婚の母は差別を受けるので、危険な中絶に走って命を落とすことも珍しくありません。国によっては、劣悪な中絶が妊産婦死亡の四割を占めているほどです。また、先進国ではほとんど見られませんが、フィスチュラという、腟と排泄物などの通り道がつながってしまう障害も若年妊娠で起きやすいのです。

ナイジェリアの女性は病院に行くのも夫の許可が必要です。彼らにとって現金はとても貴重で、女性はそれをできるだけ使わないようにと言われているんですね。許可無く病院に行った場合は、家から閉め出されることもあるんです。

>>途上国の女性たちは病院がないだけではなく、女性の身体を省みない文化のためにも命を縮めていました。 この女性たちに自衛策はあるのでしょうか?>>