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体外受精 なぜ複数の受精卵を戻すの?(3ページ目)

受精卵の取り違えがあった香川県立中央病院は、学会の倫理規定に反し複数の受精卵を戻していました。実はこの方法は双子・三つ子を増やし、新生児集中治療室(NICU)のベッドも圧迫してきたのです。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

新生児集中治療室(NICU)には双子の赤ちゃんがたくさん入院しています


双子の赤ちゃんは、1人の場合に較べて9~12倍も早産も起こしやすく、低出生体重児になりやすいとわかっています。今、新生児集中治療室(NICU)に行くと、双子の赤ちゃんがたくさん入院しています。とても小さい時期に生まれると、赤ちゃんは自分で呼吸ができないこともあります。何ヶ月も入院したり、後遺症の心配をすることになります。退院後も成長のスピードが近所の子どもと違うことが多く、お母さんは強い心をもって子育てにあたらなければなりません。

そして、体外受精の増加によって双子の赤ちゃんが増えたことで、総合周産期母子医療センターの新生児集中治療室(NICU)のベッドが圧迫されている、という事実もあります。妊婦さんの救急車がなかなか受け入れられないという問題には、遠い不妊治療の現場も関わっているのです。

受精卵が複数できたときは、凍結卵にして保存してもらいましょう


多胎妊娠では帝王切開率も高く、お母さんの身体も大きな負担を背負います。本当に妊娠率が上がるならともかく、その効果もほとんどなく、しかもバンク寸前の周産期医療も圧迫することが、なぜ、2008年までおこなわれていたのでしょうか?そして規定ができた今も、学会は、今回の違反について追求しない方針だと言います。

このようなおかしなことが続かないためには、まず、体外受精の当事者である女性が、戻す受精卵の数や多胎妊娠について認識を改めることが大切だと思います。

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