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産科医療補償制度とはどんな制度?(2ページ目)

全国ほとんどの出産施設で産科医療補償制度がスタートしています。どんな補償が受けられる制度で、どんな手続きが必要?保険料は要るのでしょうか?

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

加入している出産施設で産むと、出産育児一時金が3万円多く支払われます


出産施設のほとんどが、産科医療補償制度開始に合わせて分娩料を3万円値上げしました。それは、加入施設は、妊婦さんひとりにつき3万円の保険料を払うことになったからです。

これでは、一瞬、妊婦さんが保険料を負担しているかのようですね。でも、その費用は、最終的には妊婦さんの入っている保険が負担します。

加入施設で出産した人は、出産育児一時金が3万円多く支払われてきます。加入施設で分娩料を支払うと、その領収証に、加入施設で出産したことを証明するスタンプを押してくれます。そのコピーを自分の医療保険に提出すれば、出産育児一時金が3万円多く支払われます。これで、妊婦さんの負担額はゼロになります。

補償額は3000万円です


補償金額は、準備一時金として600万円がまず支払われ、その後年間120万円が20回支払われて総額3000万円となります。脳性麻痺の診断は原則的に生後1年以上経ってからおこなわれます。出産施設でもらう登録証の控えは母子手帳などにはさんで5年間は保管しておくようにします。

お産は安全になったけれど・・・


このような制度は欧米にいくつか先行例があり、すべての疾患について補償している国もあります。医学がいかに発達しても、何が起きるかわからないのが出産です。

登録証に記入するとき、お産に潜むリスクについて医師や助産師さんに質問したり、考えたりするのもいいことだと思います。妊婦さんはこれからひとつの命を授かり、守っていくのですから、その覚悟を少しずつ固めるいい機会になるのではないでしょうか。

この制度の使い方は上記の通りです。

さらに、この制度の意味を知りたいと思う方は、産科医療補償制度ができた本当の理由は?を、ぜひお読み下さい。

制度の検討にずっと関わってこられた昭和大学産婦人科学教授の岡井崇先生に「脳性麻痺とはどんな病気でどれくらいの確率で起きるのか」「なぜ制度が必要か」などをわかりやすく教えていただきました。
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