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「脳出血」実は妊産婦死亡のトップか(2ページ目)

搬送の遅れが問題になって注目された妊婦さんの脳出血。どれくらいの頻度で妊婦さんは脳出血を起こすのか、日医大永山病院の中井教授が検証したところ驚くべき事実がわかりました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

出産統計から落ちていた救急救命センターの死


驚くべき事実の一つ目は、妊産婦死亡は、実は国の人口動態統計の数値より多かったということです。

妊産婦は、一般の救急救命センターで亡くなることもあります。その場合、医師が妊産婦死亡として届けず、一般の死亡として届けるだけのケースが多いとわかってきたのです。

年間22名もいた「隠れた」妊産婦死亡


2005年に亡くなった出産年齢の女性すべてを調べた厚労省調査「乳幼児死亡と妊産婦死亡の分析と提言に関する研究」によると、妊産婦死亡として統計に上がっていなかった妊婦さんの死は22例に及ぶことがわかりました。

この年、人口動態に載っている妊産婦死亡の人数は62名です。でも実際にはこれより35%も多い84名の妊婦さんが亡くなっていたことになります。

すべての妊婦さんが産科疾患以外の病気で亡くなっていた


22名の死亡のうち、半数近い10名を脳出血が占めていました。継いで心疾患6例、肺塞栓5例、大動脈瘤破裂1例とすべてを間接的産科死亡が占め、いずれも血流、血管に関わる疾患でした。

こんなにたくさんの妊婦さんが、産科では手に負えない病気で亡くなっていました。現代妊産婦死亡は、産婦人科病棟から救急救命センターへ、その主要な場所をひそかに移し始めていたのです。

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