幸せも悲しみも共有するパートナーとして
医学には限界があり、医療費には限界があり、医療行政にも限界があるという現実は過酷なものです。でも、死にたくない産む側と、死なせたくはない医師の間に今回生じる共有物が失望や諦念という悲しいものであったとしても、共有できるパートナーができるのであれば、そこには新しい希望も見えてくるのではないでしょうか。
それはファンタジーではなく、今度はリアルな希望を持てるのだと思います。
事件が起きて2年2ヶ月後の判決でした。
illustration : 平井さくら
帝王切開中の処置が原因でお母さんが亡くなった福島県大野病院事件に「無罪」の判決が下りました。事件が私たちに残したものは何だったのか、考えてみましょう。
河合 蘭
妊娠・出産 ガイド
出産ジャーナリスト。著書に『出生前診断-出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書/科学ジャーナリスト賞2016受賞作)、『卵子老化の真実』(文春新書)、『安全なお産、安心なお産』(岩波書店)、『未妊-「産む」と決められない』 (NHK出版)など。
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