医師が口をそろえて抗議した事件

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刑事事件となり逮捕された加藤医師。その姿にはたくさんの産婦人科医が「明日はわが身」という絶望感を覚えました。

癒着胎盤のあった帝王切開で女性が亡くなり、刑事事件に発展した福島県立大野病院事件。この裁判は被告、原告個人を越えたところで非常に大きな動きを起こしてきました。日本産婦人科医会はじめ医師の組織がこぞって「通常の行為で医師に非はない」と抗議の声をあげたのです。

胎盤が出ないと大出血が起きる


通常、出産後の子宮は胎盤が自然にはがれ、その時に出血します。しかし同時に子宮は強く収縮し、それが止血となって血が止まるという自然の巧妙な仕組みがあります。

ところがこの方の胎盤は癒着を起こしていて、医師がはがそうとしましたがなかなかとれなくて出血が増えてしまいました。子宮を摘出して子宮への血流を元から絶ってしまえば、出血は止まります。検察側は胎盤を無理にはがさず、すぐに子宮を摘出すべきだったと主張しました。しかし、医師たちは、まずは胎盤を全部はがし、それでも出血が続けば子宮摘出とするのが普通だと口をそろえました。

衝撃的だった逮捕時の映像


検察、警察が介入するケースが増えたのが最近の医療訴訟の特徴です。刑事事件として扱われ、被告である加藤医師が手錠をかけられていた異様な映像が流れたことも、大きな衝撃でした。「努力してお産を続けても、結果が悪ければこうか」ととてもがっくりした医師がたくさん出ました。

日本中どこにでもいる加藤医師


加藤医師は、日本の産婦人科医として普遍的なものをたくさん持っている医師だったかもしれません。加藤医師は、テレビによく登場するタイプの個性の強い医師ではなく、一勤務医で、若手でもなくベテランでもなく、都心の大病院にいるわけでもありませんでした。県立病院という場は、多くの医師が現在勤務していたり、過去に勤務していたりした場所でたくさんの医師が自分を重ねる存在だったと思います。

そこに、加藤医師は、1人の産科医として勤務しているという困難な状況におかれながらがんばっていたようです。