派遣労働の女性が妊娠しても辞めないですみ、産休や育休をとるためにはどうしたらいいでしょうか?
まず、登録するときが大切です。この数年、派遣労働者も産休育休がとれるようにして、優れた人材を確保し続けたいと考える会社が出てきました。これから出産したいと考えている人はそういう会社を探すのもいいでしょう。
人材派遣は、まさに出産年齢の女性に支えられた企業ですからこうした会社が増えるといいですね。派遣スタッフは女性が圧倒的に多いですし、新卒から数年くらいで入ってくる人が多いのに、派遣先が見つかるのは大体35歳くらいまでですから。
会社に、育休、産休をとれるように頼むにはどうしたらいいですか?
会社には妊産婦の健康管理義務がありますから、妊娠を隠すより妊娠を告げ、働き続ける意志も含めてきちんと話してください。
その上で契約が打ち切られそうになり、でも、がんばりたい、と思う方は、ユニオンに相談してください。会社に対してひとりで主張を続けるのは精神的に疲れますし、まして妊娠していればなおさらです。「納得できない」ことを伝えたうえで派遣の人も育休・産休を取得することはできますので、あきらめないで!!打ち切りなどの理由をきちんと聞き、メモに残したり、やりとりのメールを取っておくと後日の交渉に役に立ちます。
【鴨桃代さんプロフィール】
1948年静岡生まれ。保育士として働き、のちに誰でも個人で加盟できる「なのはユニオン」を結成し、委員長に。現在は全国ユニオン会長としてパート・派遣、契約社員の労働待遇改善に向けて活動中。
鴨さんにお会いして
働く女性の半分は有期労働の形で働いているのに、このままでは働く女性の間には深刻な育児支援格差が。
この問題は、とてもひとりでは立ち向かえないと思います。でも現代は「個」の時代、労働組合があまり盛んではなくなりました。ある意味では企業にとってありがたい時代です。
大きな会社の正社員の育児支援制度が整ってきてマスコミをにぎわせます。でも、そのかげに「辞めて当たり前」の世界があります。誰にも恩恵があってこその「育児支援」ではないでしょうか。
■関連サイト
全国ユニオン
鴨桃代さんが会長を務める全国ユニオンのサイト。全国の相談先がわかり、「育児休業取得マニュアル」という冊子も販売しています。
■関連ページ
『非正規労働の向かう先』
鴨桃代さんの近著。派遣や契約労働の実態が解説されています。働き方を考えている方はぜひ一読を。
イラスト 平井さくら