妊娠の基礎知識/妊娠・出産に関する社会問題

急増か?未受診分娩

妊娠してもどこへも妊婦健診ににかからず、陣痛が来ていきなり産婦人科に来る「未受診分娩(飛び込み分娩)」。今年になって急増している可能性が出てきました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

今年は2倍に?!神奈川で激増を示唆する調査が

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相次ぐ産科閉鎖や格差社会の進行で妊婦健診に行かない女性が増えている?
妊娠してもどこにもかからず、一回の妊婦健診もないまま陣痛を迎える「未受診分娩(いわゆる飛び込み分娩)」が救急搬送難航の理由として浮上しています。ところが、こういうケースは最近増えている可能性が出てきました。それも今年になって急上昇しているかもしれません。

神奈川県の産科救急基幹病院で2003年から2007年4月までの未受診分娩数を調査したところ、その人数は年々増える傾向にありました。2003年には年間32名しかいなかったのに、昨年2006年は70件もあり、今年が終わった時点の推計値は何と156件と激増の兆しを見せているのです。

飛び込み分娩では1割近い赤ちゃんが亡くなりました


未受診分娩は、実はとても危ないことがわかっています。日本医科大学産婦人科では、過去10年間(1997年1月~2007年5月)の間の未受診分娩者のその後を追跡調査しました。未受診分娩者は41名いたのですが、そのお母さんたちから産まれた赤ちゃんは、何とその1割に近い4名が死産や早い時期の死亡で亡くなりました。

また低出生体重児(2500グラム以下)の割合が全体の31.7%と全国平均の9%より遙かに高く、1000グラムにも満たない超低出生体重児の赤ちゃんも3例いました。これくらいの赤ちゃんは肌もまだ薄い状態で、頭はミカンくらいの大きさしかありません。最先端医療が救命できる限界の大きさで、何ヶ月も保育器の中で治療しなければなりません。

未受診の人のNICU入院は、妊婦健診を受けていれば避けられたかもしれないのです。これは赤ちゃんやお母さんに大変な負担であり、もしお母さんが治療費を支払わなければその経済的負担を誰が背負うのかという問題も出てきます。

出産格差は広がる一方です


お産の世界に新しい大問題が浮上したと言えます。そして飛び込み分娩は、もしかしたらまだ救われるケースかもしれません。産婦人科にはついに一度も現れず赤ちゃんを捨ててしまう「遺棄」も増えています。水面下には常にあった問題とはいえ、急に増加しているのはなぜなのでしょうか。

出産の格差はますます広がっていきそうです。高価なベビーグッズが人気を集め教育熱がヒートする時代なのに、一方でこうしたケースも増えていくことに戸惑いを感じています。

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