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赤ちゃんポストと子どもを手放す人のこころ(3ページ目)

妊婦さんの中には、どうしても育てられない赤ちゃんを産む人がいます。特別養子縁組を17年間続けてきた産婦人科医・鮫島浩二先生に、生き別れる親子たちの現実をお聞きしました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

養子に出すお母さんも、普通のあたたかいお産をしている

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鮫島 養子縁組は、人のあたたかい手から、もうひとつのあたたかい手に渡すことです。もっとあたたかい手に渡す、と言ってもいいかもしれない。それは子どもへの愛なんです。

赤ちゃんを養子に出す人とは、妊婦健診から出産までおつきあいすることがたびたびあります。僕ははじめはもちろん自分で育てることをすすめるけれど、本人が育てられないと決めたらどうしようもありません。でも、限られた時間の中でごく普通の愛情を持って妊娠生活を送ってもらいますから、「胎動がすごくなってきました」という楽しいおしゃべりもするし、お産も、養子に出すことがわからないくらいに暖かい普通のお産をしています。
そして、みんな生まれて赤ちゃんの顔を見るとかわいくてしかたがなくなります。それでも、さんざん考えて、話し合って、やはり養子に出すのが一番いいと最後の決断を下したら、赤ちゃんをおいてひとりで退院していくんです。

子どもが成長して会いに来たら、実母の愛情を伝えてあげたい

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河合 愛情を感じるほど別れがつらくなるのに、鮫島先生は、それを大切になさるのですね。

鮫島僕は、将来、自分が斡旋した子が成長して僕の前に現れることも予測しているんです。家庭裁判所には僕が仲介したという記録が残りますからね。そのときに、君を産んだお母さんは妊娠中からこんな風に君を大切にして、がんばって陣痛を乗り越えて、産後もおっぱいをあげてかわいがっていたよ、と伝えてあげたいんです。僕はたまたま産婦人科医ですから、それができる。だから妊娠経過や出産の記録も全部残しておくつもりです。

河合 未成年の場合は妊婦さんのご両親も決断に関わると思いますが。

鮫島 いろいろな家族がいます。お腹が大きくなってくる娘を家におけないというご家庭の場合は入院してもらうのですが、一度も娘の顔を見に来ない人もいます。でも、そのとき親が夢中で娘のことを考えてあげる家庭だと、親子関係は強まりますね。特に、父親が逃げないでがんばってくれる家族は大丈夫です。

河合 赤ちゃんがもらわれていく先はどんなご夫婦なのですか。

>>養親になるとはどういうことなのでしょうか?>>
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