どの科に進むか選ぶのは、医師になってから3年目
「産婦人科は過重労働で医学生に選ばれない」と盛んに報じられています。でも、「産科が大好き」と言う若手医師も、もちろんいます!そんな方とお話しする機会がありました。匿名を希望されましたが、首都圏の某病院で頑張っている2人のフレッシュな女医さん・みか先生とみや先生です。
みか先生は医師になって5年目で、みや先生3年目。医師は、医師になって最初の2年間は研修医として全科を回り、3年目に自分が進む科を選びます。ですから、みか先生は産婦人科医として3年目、みや先生は1年目の先生です。
長時間労働は大変だけれど、先輩医師や助産師とがんばり自信をつけていく若い先生たち。 |
産婦人科は女性の視点が生かせる
河合 お2人が産婦人科を選んだ理由は何ですか?
みか先生 アジアで本当に困っている人を診る医師になりたくて、最も必要とされているのは産科か小児科だと思いました。なぜ医者になろうと思ったかということに想いを馳せれば、少しでも困った人、苦しんでいる人の力になりたいという原点があって、私の場合はそれが産婦人科になりました。
みや先生 女性の視点が生かせるのがいいと思いました。それから、産婦人科はバランスがいいと思います。内科的にホルモンを診たりしますが手術もあります。
みか先生 私の場合、信念を持った産婦人科医との出逢いがあったことも大きかったと思います。私は、本を読んで感銘を受けた先生に会いに行きました。若いうちに、専門的な技術だけではなく、医師としての人生を考えさせてくれるような先輩に出逢うことは大切だと思います。
子どもを産んでも仕事が続けられそう
河合 今の若い人は生活の質も大事にするので医師も産科を選ばなくなったと言われています。
みか先生 産婦人科は確かに大変ですが、女性にとって、産科はある意味で生活を大事にできる科だと思います。私が以前に研修していた病院では、子どもを産んでいる医師がいる科は産科だけでしたよ。産科は女医が増えていますから、みんなが出産して辞めていったら仕事が成り立たなくなります。だから、他の科に先駆けて産んでも働ける職場作りが進んでいます。
みや先生 「産むという行為は大切なことだ」とみんなが思っている職場ですからね。
急変が起きる科なので、医師数はある程度欲しい
河合 産科医不足の報道を見て、どのように感じていますか。
みや先生 それは世間で言っていることであって、私には関係がないことです。私にとって魅力ある科はここだから。産婦人科はとても楽しいです。
みか先生 楽しいですね。医師の仕事は体力的、精神的につらいことがたくさんあるけれど、産婦人科だから頑張れている、と思います。命が生まれる喜びがあるので、本当に素晴らしい。相手が若く健康な人ですから、確かな手応えが返ってくるのも魅力です。こわい急変もあるかわりに、快復力も大きい。すごいいい職業だと思います。
河合 これから先、どんな病院で働いていきたいですか。
みか先生 産科は、予測不可能な出血、急変が起こりうるので医師が大勢いた方が安心です。医師の人数がいれば、そういうときにも助け合えて、リスクをみんなで背負っていけますから、乗り越えていける気がします。それにまだ学ぶ身であるうちは多くの先輩のやり方を見て学びたいと思いますが、力がついたら、ゆくゆくはアジアに行ったり、離島に行ったりしたいという気持ちはあります。
みや先生 私も当面はある程度の医師数がいて、チームワークがいいところで働きたいです。いろいろな医師から偏りなく学びたいと思っています。
河合 今日は嬉しいお話をどうもありがとうございました。
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