病院の検査室にずらりと並ぶ検査のコップ。中毒症は昔から妊婦の脅威ですが、謎はまだ解けていません。 |
いまだに謎の病気
妊娠中毒症は、妊婦さんにとってはまるで「ふとりすぎ」「塩分の摂りすぎ」が原因であり、妊娠中毒症の治療はカロリー制限や塩分制限であるかのように思われているふしがあります。でも、これらはみな、症状として出てきた高血圧に対する対症療法に過ぎません。
わかっているのは、妊娠中毒症の人は、血管の内側の細胞「内皮細胞」が壊れ、血管が、硬くてきめの荒い状態になっている、ということです。そのため血液の通路がせまくなって高血圧になったり、血管内にとどめておくべき水が体内に洩れてむくんだりするのです。しかし、そもそも、なぜそんなストーリーが始まってしまうのでしょう?
その答えこそ妊娠中毒症の本当の原因なのですが、残念ながら、この部分は十分に解明されていません。妊娠中毒症は、今も謎が多い病気です。
胎盤ができる場面が鍵を握る?
今、最も有力な説は、胎盤の血管がうまく出来なかったため、というものです。胎盤は子宮壁について、血管を張り巡らしていきますが、それが何かの理由でうまくいかないと胎盤が低酸素状態になってしまいます。
すると低酸素状態になった胎盤は、内皮細胞を壊す物質を出すというのです。これが母親の全身に行ってしまい、全身の血管を硬く、荒れたものにしてしまうというわけです。