習慣流産の検査
検査はいろいろありますが、おもなものをあげてみましよう。
1. 染色体異常の検査(夫婦両方の血液検査)
染色体異常はかくれていることがあります。治療は出来ませんが、そのままでも、赤ちゃんが元気に生まれる確率は1/3あります。
2. 内分泌異常(母親の血液検査)
甲状腺ホルモンの異常、糖尿病、高プロラクチン血症など。薬物療法をおこないます。
3. 子宮の異常(子宮卵管造影、超音波検査)
子宮の奇形、子宮筋腫、頸管無力症など。必要があれば手術します。
4. 感染症(膣培養、子宮頚部細胞診など)
子宮や膣の細菌・ウィルス感染。細菌感染の場合は抗生物質を使います。
5. 自己免疫疾患(母親の血液検査など)
胎盤に血栓を作る自己抗体がでる場合があることが知られています。薬物療法をおこないます。
免疫機能の問題があることも
ただ、実はこうした検査をしても、理由が見つかる人は全体の3割くらいしかありません。7割は原因不明の習慣流産です。
その場合は、赤ちゃんを異物とみなしてしまう母体の異常な免疫反応があることを疑って、夫のリンパ球を母親に接種するという治療法があります。私のところでは効果をあげていますが、難しい面もあり、専門知識のあるところでおこなうべき治療です。
何度妊娠しても流産を繰り返してしまう習慣流産では、心のストレスも大変なものです。でもあきらめないでがんばるうちに、元気な赤ちゃんを出産する人はたくさんいます。そのことを忘れないでください。
◆東京大学医学部附属病院女性診療科「習慣流産」外来
初診=水曜日の午後
予約制 予約センター TEL 03-5800-8630(月~金pm1:00-5:00)
この記事のグラフは、下記より許可を得て転載しました。
東京大学医学部附属病院女性診療科「習慣流産外来」のホームページ