初期は貧血、血液型、感染症をチェックする血液検査が必要
妊娠中の検査は赤ちゃんとお母さんの健康や安全を守るために必要なものです。初期の検査は、これから妊娠を継続していく上で、問題となるような異常がないかを調べて、陽性であれば早めに対応することを目的で行われる血液検査です。感染症(梅毒、B型肝炎、風疹抗体、C型肝炎、トキソプラズマ抗体、HIV(エイズ)、HTLV-1(T型白血病))、ABO血液型、Rh血液型、血算(貧血、血小板)、血糖、不規則抗体などの検査が行われます。このうち、国で義務づけられているのは、梅毒、B型肝炎、風疹、血液型(ABO、Rh)、血算だけです。あとは任意検査となるので、施設によって検査項目は多少異なってきます。
赤ちゃんの心拍が確認され、出産予定日が決定し、母子手帳をもらいにいった次の受診、大体妊娠8~12週に行います。費用の一部は母子手帳交付時にもらえる補助券でカバーされます。たくさんの項目があっても採血は1回です。
検査内容のだいたいを知っておきましょう
- ABO式血液型
- Rh式血液型
緊急時の輸血に備えて、また、母子間のRh血液型不適合有無を調べます。 - 血算(白血球、赤血球、貧血、血小板)
主に貧血を見ます。妊娠中は、水分が増えて、相対的に貧血になってゆきます。最初から貧血の程度がひどいと、赤ちゃんの成長に影響が出ることもあり、また、分娩時に出血がひどくなることがあるので、軽度のうちに症状を改善しておく目的で検査します。その他決算では、血小板が低下している病気はないか、炎症はないかなどがわかります。中・後期にも最低1度は行います。 - 梅毒(ばいどく)スクリーニング
お母さんが感染していると胎盤を通して赤ちゃんに感染し、流・早産を引き起こしたりすることもあります。早期に発見して治療すれば、赤ちゃんへの感染を予防できます。 - HBs抗原
B型肝炎ウイルスの有無を調べます。HBs抗原陽性の場合はHBe抗原の検査をし、HBe抗原が陽性だったときは、いあっぱ産道感染のおそれが高くなります。ただし、1986年(昭和61年)から、HBs抗原陽性妊婦から産まれて赤ちゃんに免疫グロブリンのワクチンを打つよになったので、母子感染を予防できるようになっています。 - HCV抗体
C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。 - 風疹抗体価(HI)
妊娠初期にかかると、高い確率で流産したり、先天性風疹症候群という先天異常がみられることがあるので、風疹に対する免疫があるかどうかを調べます。HI抗体価が8倍未満の場合は抗体がないので、ウイルスの影響を受けやすい妊娠16週頃までは、できるだけ人ごみに出ないようにするのが無難でしょう。抗体が256倍以上で、特に妊娠前後に発熱と発疹の症状がある場合は、再検査を行うことがあります。 - 血糖検査
妊娠前に糖尿病がないかをチェックします。その時の血糖値が110以上であれば精密検査になります。 - 不規則抗体スクリーニング(間接クームス試験)
お母さんと赤ちゃんの間に、血液型不適合がないかを調べます。本人がRhマイナスで、パートナがプラスの場合で、検査が陽性となる場合は、赤ちゃんに影響が出てくる可能性があります。
そして、ここからは任意検査になりますが、実施している施設が多いでしょう
- トキソプラズマ検査
生肉や、イヌやネコなどに寄生している原虫に感染しているかどうかを調べます。検査している施設は多くはないかもしれません。 - サイトメガロウイルス検査
サイトメガロウイルスを含む唾液・尿・血液を介して人から人への感染が起こると考えられます。最近問題になっているのは、上にお子さんが感染して、そこから母親が感染になるケースです。検査をしている施設はまだ少ないですが、増えてきています。 - HIV検査
エイズウイルスに感染しているかどうかを調べます。 - HTLV-1検査
ヒトT細胞白血病(ATL)という、血液のがんのウイルスに感染しているかどうかを調べます。陽性の場合母乳からの感染の可能性がでてくるので、説明を受け、ほとんどの方は母乳を止め、粉ミルクを選択しています。妊娠中期に施行している施設も多いでしょう。
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