宅地建物取引業法詳説〔売買編〕の第23回は、第40条(瑕疵担保責任についての特約の制限)についてみていくことにしましょう。

 (瑕疵担保責任についての特約の制限)
第40条  宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百七十条において準用する同法第五百六十六条第三項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
 前項の規定に反する特約は、無効とする。

瑕疵担保責任とは?

瑕疵担保責任について細かく説明をするとかなり長くなりますので、ここではその要点だけ挙げておくことにしましょう。

不動産の売買では、契約で定められたとおりの権利や内容で目的物を引き渡すことが求められます。これが完全ではない状態のとき、「瑕疵がある」ものとされます。ただし、ここでいう「完全な状態」とは、一切の負担や欠陥などがないことを意味するのではありません。たとえば、雨漏りがする家屋をそのまま(現状有姿)で引き渡すという契約をしたのであれば、修繕をせずに雨漏りがするままの状態が「完全な状態」として扱われます。

つまり、契約のときには分からなかった(通常の取引上の注意では発見できなかった)隠れた物質的欠陥などが瑕疵であり、それが引き渡し後に見つかったときに売主が負う責任のことを「瑕疵担保責任」というわけです。この場合、売主は故意や過失がなくても責任を負わなければなりません。これを「無過失責任」といいます。

なお、瑕疵担保責任の対象は物質的欠陥の場合だけではなく、権利の瑕疵や、後から存在が発覚した公法制限によって建築ができないなどという瑕疵の場合にも適用されます。もっとも公法制限による瑕疵などの場合には、売主の瑕疵担保責任というよりも媒介をした宅地建物取引業者の責任を追及するべきでしょうが…。また、近年は心理的瑕疵(物件内での事件、自殺など)についても広く認められる傾向にあるようです。

瑕疵担保責任に関する特約は自由

売買の目的物に隠れた瑕疵があったとき、買主は売主に対して損害賠償を請求することができます。さらに、瑕疵によって売買契約の目的を達せられないときには、契約の解除をすることもできます。ただし、買主は「瑕疵を知ったときから1年以内」にその権利を行使しなければなりません。

ところがこの瑕疵担保責任に関する民法の規定は「強行法規」(必ず常に適用されるもの)ではないため、当事者間でこれと異なる取り決めをすることは原則として自由です。売主が瑕疵担保責任を負う期間を「引き渡し後1か月」などとしたり、責任の対象範囲を限定したり、あるいは「売主は一切の瑕疵担保責任を負わない」などとする特約も有効となります。

これらの特約がないときには民法の規定が適用され、「瑕疵を知ったときから1年以内」となるわけです。なお、引き渡し後の経過期間については、民法では何ら定めていません。

売主が宅地建物取引業者のときは最低2年の瑕疵担保責任期間

売主の瑕疵担保責任を減免する特約が自由だとはいえ、これを宅地建物取引業者にまで当てはめたのでは、取引上の問題やトラブルが大きくなってしまいます。そこで宅地建物取引業者が自ら売主となる取引において、特約による瑕疵担保責任期間の短縮を制限したのが宅建業法第40条の規定です。

民法の規定による期間(瑕疵を知ったときから1年以内)よりも買主にとって不利となる特約は原則として定めることができないものの、目的物の引き渡しから「2年以上」の期間を定めたときにかぎり、その特約を有効とするものです。このため売主が宅地建物取引業者のとき、実際には「2年ちょうど」で瑕疵担保責任の期間が定められていることが大半(主に中古物件の場合)でしょう。

なお、第40条の規定は特約の期間についての制限を定めているのに留まり、宅地建物取引業者の責任の範囲を一般よりも拡大したり付加したりするものではありません。

規定に反する特約は無効

売主が宅地建物取引業者のときに、たとえば「瑕疵担保責任は引き渡しから1年間」などとなっていれば、それは第40条に反する特約であり無効として扱われます。

無効ということは特約がないのと同じですから、民法による原則が適用され、引き渡し後の経過年数に関わりなく「瑕疵を知ったときから1年以内」に買主はその権利を行使できることになります。

新築物件の瑕疵担保責任期間は別規定

宅地建物取引業者が売主となる新築物件については、一定の部位(建物構造上主要な部位など)の瑕疵に関して引き渡しから最低10年間の瑕疵担保責任期間が定められています。これは宅地建物取引業法ではなく、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)によるものです。

それ以外の部位についても、たいていは業者独自のアフターサービス基準や保証が定められているでしょうが、品確法の対象とならない瑕疵については宅建業法そのままに「引き渡しから2年」となっている場合もあります。

契約のときに瑕疵についての説明を受けてもなかなか分かりづらいことと思いますが、「どのような現象が生じたときに、どれくらいの期間の保証があるのか」をできるだけ詳しく聞くことも必要です。

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