なぜ大量培養に成功したのか?
日々の研究は続く。
なぜ、大量培養に成功したんでしょう?という質問に対して、出雲さんは…
我々が1から100までやったということではなくて、過去にたくさんの先生方の技術があって、仮に100が培養成功だとしたら、もう97までは来ていたんです。でも、97の時点でもう無理だと思ってしまい、ここでストップした状態だったんですよ。ゴールが見えなかったこともあって、今どこまで来ているのか、もしかしたらまだ5くらいなんだろうかと。そう考えると、精神的にも厳しくなりますよね。でも、実際は97までできていたのだから、我々がやったのは97から100のたった3なんです。もちろん、我々が挑戦するときも、先生方にご協力いただいたからこそ培養に成功したんです。だから、我々だけの力ではないんですよ。
ユーグレナをベースにした日本経済活性化計画
ユーグレナの屋外大量培養に成功したのは、現在のところ世界でも株式会社ユーグレナだけです。ということは、これは日本にとっても大きな財産だと思いますし、この技術を活かして世界に向けてのビジネスをしていけば、日本はもっと元気になるのではないでしょうか。出雲さんが例として出してくれたのは、二酸化炭素の排出権取引です。日本ではあまり話題になりませんし活発な取引は行われていませんが、ヨーロッパでは年間10兆円の二酸化炭素の排出権取引市場が出来上がっています。
ちなみに、先物の金の年間取引額は1兆円、原油先物は5兆円、世界中の株式市場での株の取引高は8000兆円です。つまり、すでにヨーロッパでの排出権の取引額は金や原油を超えてしまっているのです。
ということは、排出権取引をうまく利用すれば、外国を相手に収益を上げることが可能なのです。しかも、仮にミドリムシを使うのであれば、これは日本だけの技術。これを活かさない手はないのでは?というのが出雲さんの考え。