通常の300倍の二酸化炭素でも適応するユーグレナ
ここで問題になるのは、発電所や鉄鋼所から出る二酸化炭素の濃度が空気中の二酸化炭素の約300倍という点です。この濃度では普通の植物はすぐに枯れてしまいます。じゃ、この濃度に耐えられる生き物は一体何?となった場合、それは非常に限られてしまうのですが、ここで活躍するのがやっぱりユーグレナ(和名:ミドリムシ)なのです。下の写真は、火力発電所での培養実験。増殖前と増殖後です。
増殖前のユーグレナ。
増殖後のユーグレナ
ユーグレナは空気中の300倍、場合によっては1,000倍の濃度の二酸化炭素に耐えることができます。というか、むしろこのくらい濃いほうが元気になるとか。確かに5億年前から存在する生き物ですから、当時の二酸化炭素濃度を考えれば、現在の空気中の濃度は、むしろ住みにくいのかもしれません。
そう考えると、ここでユーグレナに二酸化炭素を吸収させてしまえば、ユーグレナ自身もどんどん培養できるし、環境の面でもポジティブということになります。
牛や豚のえさとしての利用
先ほど、いくら安全でも食品や化粧品として使うにはイメージの問題があると書きましたが、それを解決する方法がありました。それは牛や豚などの家畜のえさにするということです。たとえ発電所や鉄鋼所から出た二酸化炭素を使って培養したユーグレナだとしても、高い安全保障があれば、えさとしての利用も視野に入れることが可能です。今は家畜のえさの価格高騰などの問題もあるので、将来的には更に安価に大量培養されたユーグレナを使うことができればその問題も解決できます。しかもベーシックな栄養素がそろっているので、牛や豚の健康という面でも非常にポテンシャルがあるのです。