リスクと上手に付き合うには?~分散投資
分散投資を効果は?
投資におけるリスクをゼロにすることはできませんが、リスクを抑える投資方法の1つに「分散投資」があります。金融資産を1つの金融商品で運用するのではなく、複数の商品を組み合わせて運用することで、リスクを抑える効果が期待できるといわれています。ただし、「資産はA銀行の定期預金とB銀行の定期預金とC銀行の定期預金に分散してある」といったように、投資先は分散していても投資対象が同じ商品だと分散投資とはいえません。「資産はA銀行の定期預金と個人向け国債と株式投資信託Cに分散している」というように、値動きの原因が異なる商品に分散すると、リターンをある程度狙いながらリスクを抑える効果が期待できるでしょう。
例えば、私たちが負担する公的年金の保険料は、まとめて年金積立金管理運用独立行政法人が運用しています。平成21年の年度末時点で私たちの年金資産は以下のような資産構成になっています。
(年金積立金管理運用独立行政法人HPより)
分散投資を行うことで、平成21年度1年間の年金資産のリターンは7.91%になりました。年金資産は、リスクのある商品で運用しているので、毎年度のリターンは次のグラフのように変動しています。
(年金積立金管理運用独立行政法人HPより)
リーマンショックの影響が大きかった平成20年度のリターンは最も大きく落ち込んで-7.57%でした。一方、7年間の単純平均リターンは3.02%になります。年金資産は長期間運用を続けるので、7年間の運用実績から将来を予想することは適当ではありませんが、短期間の運用実績でも平成20年度のマイナス分をカバーする運用になっています。1つの資産ではなく、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式等に分散投資することで、ある程度リスクをコントロールしながら運用することがポイントになります。
もちろん、個人で資産運用する場合は、年金資産のようにまとまった資金を運用するわけではありません。また、老後資金は資産運用だけでなく、個人年金や公的年金によって準備する部分もあるので、それらを含めてどのくらいリスクのある商品にどのように資産配分をしていくのか考えることがポイントです。それでは、老後資金の準備に向けての分散投資のポイントをみていきましょう。