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『ズッコケ』作者語る 君に伝えたいこと1(2ページ目)

累計発行部数2100万部。1980~90年当時、小学生の冒険小説バイブルだった『ズッコケ三人組』。その作者の那須正幹さんに、制作秘話、今の子どもに思うこと、そして今の大人へのメッセージをお聞きしました。

執筆者:遠藤 雅大

絶妙なキャラ設定と変わり続ける読者層

書斎にて。『ズッコケ』シリーズはこの部屋でつくられ、世の少年たちの心をときめかした
ガイド:キャラ設定についてお聞かせください。ハチベエ(本名:八谷良平)は、那須さんが作家として本格的に活動される前、実家の書道教室を手伝っていたときの生徒、ハカセ(本名:山中正太郎)が先生自身、モーちゃん(本名:奥田三吉)が中学時代の同級生とのことですが、最初からこのキャラ設定が構想としてあったのでしょうか?言葉は悪いのですが、「チビ・デブ・博士」というキャラ設定は見事なまでのキャラ黄金比率に思えますが。

那須さん:いや、そんなにきっちり決めてなかったですよ。「三銃士」ということだったから、3人ということは確定していたけど、キャラ自体は「どこにでもいる3人」ということだけしか意識していなかったですね。3人になれば、どうしても行動的な人物がいないといけないし、それと反対に知恵者も必要ですよね。その2人の真ん中に入って、調整する人物も必要になってきます。

よく来ましたよ、ファンレターで。「僕のクラスにもハチベエみたいな人がいます」とか、「モーちゃんみたいなおっとりしている人がいます」とか。子どもにとって三人組というのが身近だったんですよね。『ズッコケ三人組』の世界が、地続きで当時の小学生生活につながっていたというか。「お化け屋敷を探検しました」とか、ちょっとした冒険がまだ日常生活にあったんです。

それが、90年代になるとちょっと変わってきたんです。ファンレターでも、「三人組は僕ができないことをやってくれるからうれしい」「三人組みたいな友達がほしい」とか見られるようになって、『ズッコケ』の世界と現実世界が乖離しはじめたんですよ。『ズッコケ』の世界が、子どもたちの代理体験としての場になったというか。シリーズでも初期の段階ではハチベエがキャラとして一番人気だったのですが、ここ数年はモーちゃんが一番になってきてます。何か受け止めてくれるというか、癒してくれるというか、和み系が人気なんです。疲れているんでしょうかね、子どもたちは……。

ガイド:僕もハチベエが一番好きでした。短絡的だけど、行動的なところが。

那須さん:今、ハチベエみたいな行動タイプより、モーちゃんのようなおっとりタイプが友達関係を作りやすいからか人気みたいですね。ハチベエが嫌われているわけではないんですけど。

今ね、現場の先生に聞くと、三人組はいないらしいんです。二人組が主流で、小学低学年段階で親友関係を築くらしいんです。その特定の子としか遊ばない。僕の子ども時代は、特定の子と遊ぶというのではなく、毎日違う子と遊んでいましたよ。今は、二人組だからものすごく気兼ねするんですね。関係性を壊したら、終わりですから。喧嘩にならないよう、ならないようという方向に関係性が移行しているんです。ハチベエとハカセがよく口喧嘩をしますけど、そんなことはしないんですよね。それを止めるモーちゃん的役割をする子も、二人組だといないですし。

(次回に続く。コチラからどうぞ!)


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