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『ズッコケ』作者語る 君に伝えたいこと2

前回に続き、『ズッコケ三人組』の作者、那須正幹さんへのインタビュー。『ズッコケ』シリーズを50作で終わらせた理由と、『ズッコケ中年三人組』の秘話。そして、あのとき少年だった人たちへのメッセージ。

執筆者:遠藤 雅大

前回記事はコチラからどうぞ。

今読むと、意外に難しい『ズッコケ』シリーズ

那須さんの住む街は、緑がまぶしい三人組の原風景
ガイド:この取材の前、久々に『ズッコケ』を読んでみたんです。シリーズ最終50作目の『ズッコケ三人組の卒業式』です。結構驚いてしまいました。自分が20年前、このレベルの内容の本を読んでいたのかって。宅和先生(ズッコケ三人組の担任)が、もう歳なので学校現場ではなく、教育委員会に異動を提案されているとか、シビアというか、リアルな話が載っていたりします。「こんなに難しかった?」と正直思いました。他に、「インターネットオークション」に、「個人情報保護」にと、3人は26年間歳をとっていない永遠少年だけど、時代背景は流れるという難しさもあります。

那須さん:僕はね、視線を下げていないんです。子どもだからといって、手加減は一切しない。難しい漢字があったからといって、子どもは読まなくなるということはないですね。流れで読んでますから。事実、『ズッコケ心霊学入門』には、ポルターガイスト現象の難しい理論を入れてますし。僕はね、小学校のとき体が弱くてよく学校を休んで、NHKラジオ「私の本棚」っていう番組をよく聴いていたんです。そこでね、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』の朗読を聴いたんです。理解できましたよ。「なんて美しい情景なんだ!」と子ども心に思いましたよ。わからない言葉があるからって、理解できてないわけじゃないんです。俗っぽい言い方をして悪いんだけど、子どもは馬鹿じゃなんです。そんなね、無菌状態で育てたって仕方ないんです。さすがにベットシーンまでは書かなかったけど(笑)。

思うに、『ズッコケ』シリーズが子どもに受け入れられた点は、「お子さまランチ」を出さなかったからだと思うんです。子どもだって、大人が食べているおいしいものを欲しているんだと思うんですよ。

『ズッコケ』シリーズ、終幕のワケ

ガイド:『ズッコケ』シリーズを、全50作で終わりにしようと思った理由は何だったのでしょうか?

那須さん:坂井(現ポプラ社社長)さんからは「60作までやろう」と言われていたんですけど、今の子どもとの乖離があるんですよ。僕が35歳から『ズッコケ』シリーズははじまったんですけど、もう60歳も過ぎ、今見る小学生と昔見ていた小学生は違うんです。最初は我が子のような3人が、もう孫ですからね、年齢的に。50歳離れてしまうと、自分の中でイメージが作れなくなってしまうんです。いくら3人が歳をとらないといっても、現実的には自分は歳を重ねるわけだし。あとね、惜しまれてやめるくらいがちょうどいいかなって(笑)。

しかし、よく50作も続いたと思います。これは、読者の皆さんに愛され、読まれ続けたということで、ただ読者の皆さんに感謝しています。
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