絵の発達の特徴
■ 子どもの絵の表現の発達は一般的な心身の発達と深い関係がある
・認知機能の発達・・子どもの世界観の広さが絵の内容に深い影響
・運動機能の発達・・手指の巧緻性、手指の発達と深いかかわり
・感性や感情の発達・・事物に対する感性、喜怒哀楽といった感情や情緒の発達が絵の内容を深めたり、豊かにする。
・生活体験の充実や世界観の拡大が絵の発達や内容を深める上で大きく影響する
■ 子どもの絵の表現の発達の道筋は、世界中のどの子どもも少なくとも幼児の段階では同じ発達の道筋をたどる
幼児の段階では万国共通の発達過程を示すことはアメリカの元就学前センターのローダ・ケロッグ女史が100万枚の子どもの絵の分析から明らかにしている。尚、就学以降は、世界各国の学校教育や文化の違いによって異なってくる。
■ 子どもの絵の表現には順序性があるが、指導のあり方や個々の子どもによって個人差があるので、年齢とは一致しない面があり、流動的に考える
特に留意しなければならないのは、発達のゆるやかな子に対する配慮で、その子どもの発達段階をしっかり見守り、生活体験を充実させることが親や教師の役目である。
■ 子どもの生活環境や文化環境、指導のあり方、興味関心によっても、表現の発達が多少異なる
子どもにとって絵は親や他人とのコミュニケーション手段なので、親が関心を示したり、ほめたりすると、絵を生き生きと描き、表現力も高まる。
子どもの絵の発達段階は、あくまで一般論であって、子どもの成長のはやさには個人差があり、また、指導のあり方や子どもを取り巻く環境によっても異なりますので、固定化して考えないようにする必要があります。子どもが描く絵に過度な干渉は禁物です。たとえば、頭足人(頭から直接手足がのびている表現の絵)は子どもの絵の発達段階におけるハイハイのようなもの。無理に歩かせようとせずに、ゆっくりと見守ってあげましょう。
しかしながら、美術教育においては、子どもの絵の発達段階を土台として、個々の子どもの心身の発達や生活環境なども考慮し、指導にあたることが望ましいと思われます。この様な意味合いから、今回、「子どもの絵の発達段階」をご紹介しましたので、ぜひ、皆さんに役立てていただければと思います。
【参考文献】
「子どもの絵は何を語るか」 東山明・東山直美 (NHK BOOKS) |
<目次>
人類はなぜ絵をかくのか
子どもの絵が語るもの
子どもの絵の発達の道筋(誕生から8歳ごろまで・8歳から18歳ごろまで)
立体や空間をどう認識し表現するか―三歳児から小学六年の絵の表現の変容
二人の子どもの成長記録から
子どもの絵から古代人の絵を見る―部族の絵や現代美術の絵との共通性
子どもの絵の見方・考え方―どうアドバイスすればよいか
■ 記事を読んでくださって、ありがとうございました ■
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