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本郷三丁目、東京大学を囲む台地上の街(2ページ目)

文京区本郷三丁目といえば、言わずとしれた東京大学のある街。周辺には学校はもちろん、医療関係、出版関係の会社や旅館などが集まり、独特の雰囲気も。そんな本郷三丁目の住み心地をチェックしてみましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド


教育熱心な親なら知っている?
阿部様の作った学者町「西片町」

誠之小学校の由来を記した掲示板。阿部家が土地その他を寄付して作られたという

誠之小学校の由来を記した掲示板。阿部家が土地その他を寄付して作られたという

文京区は学校の多い文教地区として教育熱心な家庭には知られるエリアですが、その中でも特に多くの学者や文化人を輩出、進学校として知られるのが本郷通りの西側にある西片町にある誠之小学校です。西片町は福山藩(広島県福山市)阿部家の中屋敷があった場所で、阿部家は明治初期からこの地で住宅経営を行っており、校名の誠之も元々は福山藩の藩校の校名。代々学問に対する理解が深かった阿部家は街作りに当たっては同郷人のほか、学者、知識人を優先的に入居させたため、この街は学者町とも呼ばれていたとか。東京大学の周辺には学者、文化人が多く住んでいますが、その中でもとりわけ、評判の高かったエリアというわけです。震災、戦災を逃れた西片町には今もその当時のお屋敷がいくつか残っており、明治、大正の住宅街の様子を伺い知ることができます。

西片町に残された古い住宅。住宅ウォッチングが好きな人なら歩くのが楽しい場所だ

西片町に残された古い住宅。住宅ウォッチングが好きな人なら歩くのが楽しい場所だ

残念ながら、現在の西片町は戦後の混乱、そして近年の居住者高齢化、相続などによって街の歴史を知る人が減り、かつては非常に活発だった町内会の活動も活気に欠くようにもなってきたと聞きます。実際に歩いてみると、お屋敷が分割されて売りに出されている現場なども目に付き、時代の移り変わりを感じます。とはいえ、まだまだお屋敷も多く、緑の濃い静かな佇まいは住宅街として今も人気。住むんだったらこの街という人も少なくありません。

生活利便性は今ひとつ?
場所によっては狭い道も

通り沿いには飲食店、書店その他は多いが、生鮮食料品店はほぼ見当たらない。通りから入るとごく小規模な店はあるにはあるが、品揃えは今ひとつ

通り沿いには飲食店、書店その他は多いが、生鮮食料品店はほぼ見当たらない。通りから入るとごく小規模な店はあるにはあるが、品揃えは今ひとつ

では、続いてちょっとマイナスな点を。最初に目に気になったのは生活に必要な商業施設が少ないという点。学生街ですから、飲食店その他はあるのですが、スーパーはもちろん、商業施設がそもそも少ないのです。また、道路の整備計画もあってでしょうか、本郷通りの東大の向かいには空き店舗も目に付きました。幸い、冒頭でも述べたように、後楽園、春日、谷根千、上野などまではさほど距離はありませんから、ここに暮らすとしたら、そうした周辺の街を利用するのが現実的なのでしょう。


通り沿いにはマンション、一歩入ると一戸建てが並ぶ本郷通り近く。住宅の間には細い私道も多く見かけた

通り沿いにはマンション、一歩入ると一戸建てが並ぶ本郷通り近く。住宅の間には細い私道も多く見かけた

もうひとつは公園が少ないということ。東大という大きな公園的な空間はあるものの、子どもを遊ばせるような公園はほとんどないのです。また、場所によっては細い行き止まりの多い道も多く、地盤的には安心な土地ながら、火災などには弱い地域もあるように見えました。





最後に気になる本郷三丁目の住宅事情を見ていきましょう。

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