多摩地区を中心に相次ぐ新設校

2001年国分寺に移転した早稲田実業。共学に移行し、人気を集める

2001年国分寺に移転した早稲田実業。共学に移行し、人気を集める

 

2010年の首都圏中学受験者は約61,500人。09年から減少(3,000弱)となった状況です。この10年間ほぼ毎年受験者数が増えていたのが、ここへきて伸びが鈍化し足踏み状態に。

背景には第一に世の中の景気低迷が考えられますが、もちろんそれだけではないでしょう。

2009年度の首都圏小6児童数は303,493人(2009年度「学校基本調査」文部科学省)で、2010年度は306,750人(2010年度「学校基本調査」速報値)に。小6児童数も09年~10年とほぼ横ばいであることがわかります。

10年度データ
09年度データ

このなかのNo26「学年別児童数」

一方、私立中学校数はここ数年増加傾向にあります。全国の中学校数では、公立が9,982校で09年度より62校減少しているのに対し、私立は757校で09年度より12校増加(2010年度「学校基本調査」速報値)。ちなみに09年度も08年度より10校増加。11年度も増加の見込みです。

10年度データ
09年度データ

私立校の新設の中心地となっているのが関東・関西都市圏といえます。東京都私立の新設校としては早稲田大学高等学院の中学部(男子)が2010年に練馬で開校、中央大学附属中学校(共学)が小金井市に2010年に開校。

学校移転・共学化等とも関連して、法政大学の附属中学校(男子校)が2007年に三鷹市に移転し、共学の法政大学中学高等学校を開校。また明治大学附属明治中学校(男子校)が2008年に調布に移転、同時に共学となり、人気がさらに上昇しています。関西圏と同様、大学付属校の開校が相次いでおり、どこも人気を呼んでいます。

公立中高一貫校では、2010年度に都立富士高等学校附属中学校、都立大泉高等学校附属中学校、都立南多摩中等教育学校、都立三鷹中等教育学校の4校が開校し、現在全部で11校となっています(うち都立南多摩、都立三鷹、千代田区立九段中等教育学校、都立桜修館中等教育学校、都立小石川中等教育学校、都立立川国際中等教育学校は中学のみの募集)。

こうしてみると、特に多摩地区で激しい変動が起きていることがわかります。この状況が、今後各校の教育の成果や校風が明らかになるにつれ、私学を含め多摩地区の受験分布図に大きく影響していくでしょう。

また公立中高一貫校の誕生により、私学の入試スタイルも変化することが予想されます。公立中高一貫校の自ら考え自ら解決する力を総合的に見る適性検査が、私学入試のあり方に影響を与え、適性検査入試を取り入れる私立中学も出始めることでしょう。

実際のところ、公立中高一貫校の影響かどうかは断定できませんが、私立入試で例えば国語は、従来は物語が主流だったのが、説明文の比重が高まりつつあります。論理的読解力が重視される傾向にあること、また記述式も増える傾向にあることも挙げられます。社会は、一つのテーマについて歴史・地理・政治の各分野からの質問が出されるなど、いわば総合的な問題を出す傾向が見られるようになっています。時事問題も見逃せません。特に地域の自然や暮らし・産業を、環境問題とのかかわりで考えるなどの問題が見られます。

こうした問題設定は、公立中高一貫校の適性検査との共通点が見られます。つまり、身に付けた知識を総合的に使って自ら考え、課題解決する力、論理的思考力、文章力(表現力)などが問われる傾向にあるということで、これは文科省の近年打ち出している教育方針に対応するものといえます。

難関私立校・中堅校の動向

難関私立校の人気は今後さらに高まり、二極分化も予想されますが、その分中堅校は入りやすくなるのでしょうか? 実際は、はっきりと教育の特色を打ち出している中堅校は入りにくくなっています。たとえば女子校の品川女子学院(28プロジェクト)、三輪田学園(読書指導)、共学の広尾学園(生徒個人別の学習システム)などは近年急速に受験実質倍率を伸ばしており、狭き門になってきています。学校は偏差値だけでは計りきれない教育の価値や独自性、文化を有しているものであり、それを発揮した私学は人気が高まっていくでしょう。

なお生徒募集を変更する学校として、海城中学校は2011年度より高校の募集を停止し、完全中高一貫校となります。東京都市大学等々力中学校(共学部・女子部)は2011年度より女子部の募集を停止し、共学部のみとなります。同校は2009年に東横学園から東京都市大学等々力中学校・高校へと校名変更・改組し、人気上昇中。共学部と女子部で倍率に大きな差が出たことから、共学部に一本化することになりました。

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