戸隠にも宿坊がたくさんある
「宿坊って、お寺にあるものでしょう?」と思っている人が多いでしょうが、実は、神社にも宿坊があります。宿坊にはいろいろな種類があり、場所ごとに成立した時代や由来が違います。宿坊諏訪には、延命院という名前もある。戸隠神社は昔は寺でもあったので、各宿坊にも、昔寺だったころの名前が残っている
御師はツアーコンダクターの役目もして講の人々を連れてきて、自分の家に泊めます。これが宿坊となりました。御師の家という形の宿坊が多いのは、東京都の御岳神社や神奈川県の大山阿夫利神社の周辺などです。
戸隠神社の宿坊は、宝光社と中社のまわりに何十軒もあります。どこも、古くからの御師の家なので、なかなか風格がある建物が多いです。戸隠は、昔は寺でもありましたが、今は、神社なので、宿坊の食事も精進料理ではありません。でも肉はあっても最小限で、川魚と山菜中心です。また、お寺と違って、朝のお勤めでお経を上げることはあまりありませんが、(一部、般若心経を上げるところもあります)、希望すれば、祝詞を上げ、御祈祷をしていただけます。
戸隠独特の「ぼっち盛り」のお蕎麦
戸隠の蕎麦には、他の信州蕎麦とは違う特徴があります。それは、盛り方です。ぼっち盛りと言って、一口大ほどの馬蹄形にお蕎麦を丸め、戸隠特産の根曲竹で作ったざるに盛ります。戸隠蕎麦という言葉が一人歩きしていますが、ほんとうは、この盛り方、このざるでないと、戸隠蕎麦とは言えないのだそうです。
わたしのお勧めの宿坊
宿坊諏訪の、夕食の一例
ご主人の諏訪さんは、若くて働き者の神主さんです。蕎麦打ちもお上手ですが、それだけでなく、奥様手作りの山の幸を盛り込んだ夕食も、とても美味です。
作家の林芙美子さんの定宿でもあり、林さんの手紙などが展示されています。
建物は古い形だが、客室は改装されていて快適です
こちらのご主人は、もとラリーのレーサーであったという経歴もお持ちですが、超絶蕎麦打ち名人もあり、実は、宿坊諏訪のご主人のお師匠さんとか。
他のお料理もおいしいし、ベッドの部屋もあって快適。建物は、どっしりとした茅葺。泊まらなくても、お昼に蕎麦を食べられる店も併設されています。