先日、住宅業界の経営者も参加する会合に出席しました。そこで中心となったのが消費税率のアップに関する話題でした。彼らの主張をまとめると、「消費税率のアップはやむ負えないが、住宅取得に関しては据え置きか、できればゼロに」ということでした。
住宅団体の要望は業界エゴ?
もしかしたら、業界への利益誘導的な要望に聞こえるかもしれませんが、実はそうでもないのです。それがわかるのが下の図。先進国の住宅にかかる消費税の動向がわかると思いますが、いずれも食品などと同様に、住宅に関しても非課税(ゼロ税率)、もしくは軽減税率となっています。というのは先進国においては、食品や住宅関連への税を軽減することで国民生活を安定させられると考えられているから。特に米国では、住宅は景気拡大策と連動していますから、このような税金の面での優遇が図られているのです。
ところで、先に紹介した住宅業界の経営者が求める要望は、日本では「金持ち優遇」と捉えられることが多いようです。「住宅は裕福な人が購入するもの」、「業界エゴ」と。しかし、本当にそうなのでしょうか。それをこれから私たちはよく考える必要があると思います。
果たして「金持ち優遇」なのか?
真っ当に働いて住宅を購入することは、国民にとって当然の権利。それで税の点で何らかの優遇を受けるということが、果たして「金持ち優遇」なのでしょうか。住宅を取得する人にしか恩恵を得られないというのは確かに難しい問題ですが…。不動産取得税など、住宅取得にあたっては様々な税金がかかります。その上、消費税がアップされると、負担はさらに大きくなります。住宅取得は私たちの夢であり、そうした明るい希望を損なわないように配慮していただきたいものです。
また、アメリカと同様、わが国でも景気刺激策として、国民の住宅取得の促進は機能してきた歴史があります。そうした経緯も考慮して、今後の消費税率の議論が深められることを私は期待しています。