3、大学の改革度
入学してから満足できる大学か?
いま大学は大きな転機を迎えているといえる。新しい改革を断行できている大学と、古くからの伝統の固執する大学に。魅力的な大学作りという点で、大学の改革の度合いがどの程度進んでいるかを考えてほしい。
教員の出身大学と専任教員数からある程度のことがわかる。「大学改革」という言葉が叫ばれて久しいが、その実体は一体どのようなものかなかなかわからない。しかし、教員の出身大学を見れば教授会の力関係が明確に浮き彫りになる。見かけは大学改革を叫んでいても、すべての教員を同じ出身大学で固めていると、実際は封建的な体制が温存されているという見方ができる。教授会の力が強すぎると改革が断行できないのだ。
また、ある特定の大学出身者だけが教員を占めている場合も、その学閥の傘下になっていると考えられる。教授会は人事権を持っているので、できるだけその力を維持しようとする。そうすると教員の採用も自分達だけで決めてしまいたい。大学は実際公募という形で教員を採用しているが、すでに事前の話し合いでは採用予定者が決まっているのに、体面上公募して選考をする場合も多い。
健全な大学ほど広く日本中で、あるいは世界で人材を集める。大学の規模に対して十分な教員数が揃っているかどうかも重要なチェックポイントだ。学生数が多いわりに教員が少ないということは、大教室での授業が多く、丁寧な指導ができないことをあらわしている。非常勤といわれるアルバイト教員を多く雇うことにもなる。大学経営の一番大きな負担は人件費なので、大学側としてはできるだけ減らしたいというのが本音だろう。しかし、それでも十分な教員を抱えることは適切な教育環境にとって必要条件ではないだろうか。
ここで実際に早稲田大学と慶應義塾大学の経済学部を比較してみよう。
■早稲田では、経済学部(定員425名)の専任教員(一般教養を除く)は30名。1人当たりの教員の担当する学生数は約14名。教員の出身大学は以下の通り。
1.記載なし 11名
2.早稲田大 8名
3.東大 4名
4.一橋大 2名
5.京大 2名
6.筑波大 1名
7.慶応大 1名
8.東工大 1名
■慶應義塾の経済学部(定員1,200名)の専任教員(一般教養を除く)は77名。1人当たりの教員の担当する学生数は約16名。教員の出身大学は以下の通り。
1.慶応大 41名
2.東大 12名
3.京大 4名
4.以下1名の大学
スタンフォード大、大阪大、東京外大、早稲田大、シカゴ大、ウィスコンシン大、筑波大、ミネソタ大、東工大、オーストラリア国立大、ジョンズホプキンス大。
早稲田は非常に純血性を重んじていたために大学改革が遅れたといわれている。出身大学の「記載なし」が気にかかるが、最近ではかなり変化があったようだ。一方、慶應義塾は広く世界からも人材を登用しているといえる。さすがに大学改革の旗手といわれるだけのことはある。
大学をブランドだけで選ぶことも大切だ。しかし、大学入学後中途退学者数が増加しており、各大学もその対処に苦慮している。いろいろな角度からもう一度自分が通う大学を考えてみるのもいいだろう。
大学合格だけが人生の目標ではない。しかし、より豊かな人生を送るためにも、大学生活は大きな転機となるはずだ。上記の点からも自分の通う大学をじっくり吟味してほしい。
オープンキャンパスに行くだけでは、あまりよくわからないもの。実際に大学の周辺を歩いてみたり、先輩の案内で実際の授業に出てみるのもいい。本当に自分を成長させてくれる大学との出会いがあることを祈っている。
大学受験 予備校・塾の選び方 >>