年末調整の必要性とは?正しく書かないと税金を多く支払うハメに?

年末調整のメリット・必要性とは…何のため?誰のため?

年末調整を正しく書かないと、税金を多く支払うハメに

毎年、10月下旬から11月初旬にかけての季節が、年末調整の書類が勤務先から配られる時期ではないでしょうか。2018年以降の年末調整に関していうと配布される書類とは、以下の3点です。 しかし、中には「何だかわからないけど、住所と名前と生年月日書けっていうからさぁ」とか「面倒くさいから、言われたことだけサッサと書いて提出してるよ」という人もいるのではないでしょうか。

でも、それだと納めなくてもいい税金を納めてしまっているかもしれません。ここでは毎年あたりまえのように行われている「年末調整」について、基本的なことを解説します。
   

年末調整は何のためか?ーーサラリーマンのための税務処理代行

毎月のお給料から天引きされている所得税ですが、基本原則は「申告納税」だといわれています。申告納税とは、所得があった人が自身の所得と税額を計算し、所定の期日までに税金を納めるのが基本という考え方です。

それを制度化したものが「確定申告」ということになるので、極論すると、所得のあった国民が、確定申告を提出し、税金を納めるというやり方の方が「申告納税」の考え方に沿っているということになります。
しかし、そのようなことをしていたら、納税者の負担も相当なものですし、行政サイドの徴税コストも膨大になるでしょう。

そこで、対象者が一番多いサラリーマン(税務用語では給与所得者。パートやアルバイトなども含みます)で年末時点での在職者で年収が確定している方については、勤務先に年末調整という税務処理を代行してもらい、確定申告の提出を省略して行ってもらっているというのが現状です。したがって、年末調整とは、勤務先が納税者に代わって行う簡易な確定申告であり、サラリーマンが本来行わなければいけない税務作業を軽減しているということになります。
 

年末調整のメリットは、コストと申告手続きなど税務作業の軽減

年末調整とは、給与の支払いを受ける人の1人ひとりについて、毎月の給料等から源泉徴収された所得税を、1年間の給料総額が確定する年末にその納めるべき正しい税額を計算して、
  • 給与計算時に差し引いた所得税が多い ⇒ その差額を還付
  • 給与計算時に差し引いた所得税が少ない ⇒ その差額を徴収
する制度です。国側から見た場合の年末調整のメリットは何といっても徴税コストを軽減させることですし、納税者側からみたら煩雑な税務作業の負担が軽減することがあげられます。

逆にデメリットとしては、この制度があることで、日本の財政問題とか一般会計とか特別会計といったことに知らず知らずのうちに無関心にならされている土壌の要因になっていることは否定できません。一方、納税者側からみれば、年末調整があることで税務作業を軽減できていることはメリットなのですが、「勤務先が自動的に行ってくれている」ことにより「税金の計算方法を知る機会が減ってしまう」という状態になってしまっているのはデメリットといえます。

したがって、 を年末調整で勤務先に提出する場合には、税務署に確定申告書を提出するのと同じ意識を持つことが重要です。
 

年末調整のメリットを知らず、必要事項を記載せず提出すると……

例えば子どもがたくさんいて稼ぎは夫の収入だけという家庭の方が、夫婦共働きで子どもがいない家庭よりも生活が大変なことは想像できるでしょう。

税務上、就学していて稼ぎを得ることができない子どもに代表されるように
  • 同一生計(生計の基盤が納税者と同じであること)
  • 合計所得金額が38万円以下
  • 年齢16歳以上
  • 6親等内の血族、3親等内の姻族
のことを「扶養親族」といいます。扶養親族が多ければ多いほど生活が大変ということが税務上考慮されるので扶養控除という規定があります。

この扶養控除に該当する扶養親族をカウントするデータが「扶養控除等(異動)申告書」なのですが、「何だかわからないけど、住所と名前と生年月日書いて」提出してしまっている人は「扶養控除の適用ができるのに、そのデータが申告されていない」可能性があります。

「扶養控除等(異動)申告書の記入のためこのようなデータが必要です」とか「このようなケースでは給与天引きされてなくても、社会保険料控除が活用できるので記入しておいてくださいね」いったことが勤務先で行われ、そのことが各申告書に反映されることが望ましいですが、通常、配布された年末調整の書式の記載内容により、機械的に判断されるというのが年末調整の実態ではないでしょうか。
 

個人情報保護法やプライバシーの侵害、マイナンバー法の施行も影響

現在は良くも悪くも個人情報の取り扱いに注意を必要とされる時代です。ご存知のとおり、個人情報保護法は平成17年4月1日から施行されていますし、近年では、官公庁に提出する源泉徴収票や支払調書にマイナンバーを記載することとされているため、マイナンバーの収集を求められることが増えてきます。
年末調整時の個人情報

勤務先は個人情報の漏えいに注意を払う義務があるため、社員の年末調整の書類記載漏れに関わる情報収集をしづらい

一方、つまり、勤務先では法令に則って「個人情報の漏えい」や「マイナンバーの漏えい」には相応の注意を払う義務が課せられます。

このようなことにより、勤務先の総務部門や財務部門(あるいは顧問の会計事務所)などは、「家族構成や保険の加入状況、奥様がいるのかいないのか、また働いているのか、いないのか」といったことを尋ねることは時によってはハラスメントにつながるま考えます。結果として、必要な年末調整時の情報収集ができないということにも影響を与えているのではないでしょうか。
 

年末調整を受けるための心得とは

これらのことを考慮すると、今後もますます勤務先は、年末調整作業を機械的に行うという流れがとまることはないでしょう。したがって、年末調整を受けるために
  • 税務上、有利に働く情報が何かを理解する
  • 節税に必要な情報は、きちんと書式に記載する
  • 勤務先に提出する書類は、税務署に提出する確定申告書と同じという意識を持つ
以上3点を注意してみるのはいかがでしょうか。


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