~現在の株価に大きく影響を与える項目~
この項目ではその企業が展開する事業で来期にどれだけお金を稼ぐことが出来るかが記載されています。具体的には企業が業界環境及び自社の業績動向を分析した上で来期の売上、経常利益、EPS、配当を予想した数値を記載しています。
その業界の専門家が分析し、自社のことを一番良く知っている経営陣が作成している数値のため、精度の高い数値であると考えて良いでしょう。
但し、例年、保守的に数値を作成する企業もあれば、新興市場に上場する企業においては経営者の依存度が高いこともあり、経営者が目標としたい数値(実際の予想数値より更に上の数値)を掲げている可能性もあることから注意が必要です。
多くの投資家が来期の売上及び経常利益及びEPSの予想数値が今期実績に対してどの程度成長するかに注目しているため、まずはじめにこれらの数値に目を通すと良いでしょう(特にEPS)。
●今期と来期営業利益率の比較・推移
~継続的な成長性を知る項目~
たとえ来期が増益であっても注意が必要です。特に来期予想の営業利益率に注目しましょう。
来期予想の営業利益率が減少するのであれば企業側が競合他社との競争激化により営業利益率が悪化すると見込んでいる可能性もあるためです。
一時的な営業利益率の悪化であれば問題有りませんが、継続的な営業利益率の悪化ということであれば将来の成長性が欠如するという見方も出来るためです。
ただし為替動向等を踏まえて企業が保守的に見込んでいるという可能性もあります。
●各事業ごとの実績数値及びコメント
(売上・利益の実績数値、事業動向に対するコメント)
~企業の強みを知る項目~
複数の事業を営んでいる企業の場合、各事業ごとに売上及び利益数値が記載されています。
その企業がどの事業で多くお金を稼いでいるかを知ることが出来るため、企業の強みを分析することに利用します。
特に一番稼いでいる事業動向や昨年比でどの程度成長しているかを見ると今後の成長性を占うことが出来ます。
●キャッシュフロー
~企業の資金繰りを見る項目~
営業キャッシュフローは営業活動により獲得したキャッシュが記載されています。
損益計算書にて利益を計上していても営業キャッシュフローがマイナスとなっている場合には在庫の増加や売掛金の回収遅れなどでキャッシュが獲得出来ていないことを表しており、営業キャッシュフローが大きくマイナスの状態が継続すると最悪の場合黒字であっても黒字倒産するケースも考えられます。
決算書発表の前に
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業績予想数値の変動が上記水準以下であっても、多くの企業が決算発表前に業績予想の修正を行うため、これらの情報開示に注目すると良いでしょう。
時には昨年(又は過去)と同じタイミング(同じ日にち・同じ週の曜日等)で業績の上方(又は下方)修正を行なう企業もありますので過去の上方(又は下方)修正の日程を調べると今年もその日程前後で業績修正発表となる可能性もあります。
株価にインパクトを与える大きな要因となるため過去のIR情報を参考にすると良いでしょう。
また5月には3月期決算企業だけではなく、12月期決算企業も第1四半期業績を開示すると同時に中間期予想も発表する企業も多数存在します。12月期決算企業の第1四半期での中間期決算予想数値に対する進捗度の高さも投資判断基準となります。
決算書全ての項目を読むと大変時間がかかってしまいますが、以上の事柄に注目しながら複数企業の決算書を読むと徐々に慣れ、短時間で読むことが出来る様になるでしょう。
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