投資の行動心理学、プロスペクト理論
投資の行動心理学の中で有名なのが「プロスペクト理論」です。これは2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンによるもので、「投資家は利益を得ている状態では利益を確定する行動をし、損失が出ている場合は、損失を確定しない行動をとる」というもの。
さきほどの「利食いは遅く、損切りは早く」とは真逆のことを意味しています。これをわかりやすく質問形式にしてみましょう。あなたはどちらを選びますか?
質問1 どちらを選ぶ?
A:必ず800万円もらえる
B:1000万円もらえるが、15%の確率でゼロ円になる
質問2
A:必ず800万円支払う
B:1000万円支払うが、15%の確率でゼロ円にしてもらえる
合理的なのはどっち?
おそらく、多くの人は質問1ではAを、質問2ではDを選んだのではないでしょうか。
ここでそれぞれの期待値を計算してみます。Aは+800万円、Bは+850万円(1000万×15%)、Cは-800万円、Dは-850万円(-1000万×15%)となって、期待値だけを考えるとBとCが合理的だとわかります。
ただ問題はここに人の心理が加わるということ。利益があるのであれば、それをすぐに確定する、逆に損失があるときにはできるだけ先延ばしをする。この投資家心理が色濃く出た結果になるのです。
さて、次のページでは、損切りと株価上昇期待の矛盾にせまります。