哲学を維持し、貫き通す
でも、セゾン投信が直販にこだわった理由はそれだけではありません。セゾン投信の考えや哲学を維持し、それをダイレクトに伝えるためでもあるのです。ただ1社だけでは、その声は届かないかもしれません。しかし、同じような考えを持っている会社が集まればどうでしょう。実は、セゾン投信と考えを共有する会社は9社あって、どれもが長期投資に強いこだわりを持っています。一番最初にできたのが、言わずと知れた「さわかみ投信」です。次にできたのが、「お金がないなんて言わせない!」「相場が悪い中、私たちに必要なことは?にもあるように「ありがとう投信」。そしてセゾン投信が2007年にできました。昨年は「みんなの願い!下げに強いファンドを探せ!」、「みんながハッピーになる投資を!」で紹介をした「かいたく投信」、「楽知ん投信」「浪速おふくろ投信」ができ、「ひふみ投信」、「ユニオン投信」、2009年には「コモンズ投信」が立ち上がりました。
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長期投資と短期投資の違い
短期投資と言うと、デイトレやスキャルピングなどを思い浮かべると思いますが、これはその日、あるいはその瞬間だけ株を買って少しの値上がりで売ってしまうという方法です。つまり、狙っているのは目先の利益。一方長期投資が見ている先は20年、30年、場合によっては死ぬまでです。長い時間をかけ、投資を通してお金を経済の中に投入していくのが長期投資の基本であり、そうすることによって、民間の経済活動に使われて経済の下支えをすることができ、経済が安定的に成長していく。こういったずっと先のことを考えて行うのが、長期投資なのです。
中野社長は言います。
たとえば、トヨタのプリウスは、エコカーとしてとても有名です。このプリウスを作るために、トヨタは一体何年の月日をかけたのでしょう。企画をしてから開発の作業が始まり、工場を建てて製品を作っていく。この過程で20年以上がかかっているわけです。こういった長い時間をかけるのが実体経済の姿であって、これはどんな企業でも同じです。シャープが液晶を作るのにどれだけの時間がかかったのか。3か月でできるはずがありません。少なくとも10年以上の歳月はかかっていると思います。こういう長い時間をかける経済活動にお金をコミットしていくのが、長期投資です。
長期投資をすることによって、日本中、世界中の人が喜べるような商品を作ることができます。だから、どんどん商品が売れて経済が成長していき、その結果として、お金を投じた人はリターンをもらえるのです。同時に経済は成長して、そこからの恩恵ははかり知れません。ということは結局はみんながハッピーになれる。誰かから奪うという発想は、ここにはありません。これが長期投資の基本スタンスです。
長期投資は、経済の下支えになる行為です。どうしても自分のお金を増やすということが先にきてしまって、それ以前にもっと深い意味があることは案外知られていません。それはとても残念なこと。
もちろん、私は短期投資を否定しているわけではありません。私も過去にはデイトレをしていたくらいなので、そのメリットは理解しています。チャンスをものにすることができれば大きな利益を得ることも十分可能ですし、実際にそうやって億単位の利益を出しているトレーダーもいます。
ようするに、お金を投じる方法は複数あるということです。その中で長期投資のスタンスに共感できるのであれば、これから長期投資を始めてみてもいいのかもしれません。
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