年金/国民年金保険料の免除・猶予

年金 「免除」と「滞納」でどんな差が出る?(2ページ目)

低迷が続く国民年金の納付率ですが、特に若年者の納付率の低迷が顕著なようです。保険料を払わない場合でも「払えるのに払わない(滞納)」と「払いたいのに払えない(免除)」があります。「年金を受け取る」視点から見ると「免除」と「滞納」では、受け取る年金に大きな差が出てくる大変な問題なのです。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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年金受給への影響は?

国は「免除」と「滞納」で、年金を支給する要件に大きな差をつけているわけですが、一体どのような差をつけているのか見ていきます。

■老齢基礎年金 
老齢基礎年金は国民年金の加入期間が原則25年間以上ないと支給されません。この加入期間に「免除」期間は算入されますが、「滞納」期間は算入されません。極端な話、20歳から60歳まで40年間ずっと「免除」期間であれば、年金が支給されるますが、40年間ずっと「滞納」期間だと支給されないことになります。

保険料を払わないのに年金が支給されることを「売り」に、免除の申請をさせるようなパンフを作っている年金事務所もあるようです。ただし保険料をちゃんと納付している場合と、免除の場合は受け取れる年金額は違ってきます。現在、全額免除の場合、その期間の年金額はちゃんと納付している場合の2分の1、半額納付の場合は4分の3になります。

■障害基礎年金、遺族基礎年金
障害基礎年金、遺族基礎年金とも保険料納付要件という受給要件があります。具体的には、「障害になった日(初診日といいます)」「死亡日」の前々日までの国民年金加入期間のうち、3分の2以上が保険料を納付しているか、免除の期間で占められていなければなりません。納付要件でいうと、免除期間は保険料を納めている期間であるとみなされるわけです。また、老齢基礎年金と違い、加入期間のうちの保険料を納めている場合と、免除の場合で年金額に差はありません。

厚生年金にも影響を与える

年金支給への影響は、国民年金だけにとどまりません。老齢厚生年金を受給する要件は、国民年金から支給される老齢基礎年金を受け取れることが要件となっています。

老齢基礎年金を受け取れる要件は前のページに書いているとおりですが、国民年金の納付期間、免除期間と厚生年金の加入期間を合わせた期間が25年以上になってはじめて、加入している期間分の厚生年金が支給されることになります。

ですから、例えば20歳から60歳までの40年間のうち
■会社員としての期間が「10年」
■自営業者の期間が「30年」
あったとします。

このうち自営業者の期間の30年間が全て滞納期間とすると年金の受給資格期間の対象となる国民年金の期間が0ヶ月、厚生年金の期間が10年となり、加入期間の合計は10年しかないことになってしまいます。

そうすると、「25年」を満たせず、老齢基礎年金は受けられません。それだけでなく老齢厚生年金も受けることができませんので、厚生年金に加入した10年間も無駄になってしまうわけです。

もし自営業者の30年間が全てが免除期間だったら、国民年金の期間が30年、厚生年金の期間10年で合計40年となり、老齢基礎年金が支給されますので、老齢厚生年金も10年間分が支給されることになります。

払いたいけど、払えない場合は、まずは免除の相談をしていただきたいですね。申請免除は申請が前提ですから。

【関連リンク】
免除制度について 


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