年金/遺族年金の仕組み

30歳がターニングポイントになった遺族年金

平成19年4月から、原則生涯にわたり支給されていた遺族厚生年金が、30歳を境にして取り扱いに大きな差が出ることになりました。さて、どんな影響があるのかを検証します。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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現在の遺族年金制度を理解しよう

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この制度改正の原因は、やはり年金の財源の逼迫が大きい
一家の大黒柱に万が一のことがあったときに、残された遺族に支給される遺族年金ですが、平成19年4月から制度の「改悪」がスタートします。残された遺族の大切な収入源である遺族年金に一体どんな改悪が行われるのでしょう。

この改悪の影響を受けるのは、サラリーマンの妻といわれる人なのですが、まず、サラリーマンの妻を対象として現在の制度の理解をしておきましょう。

サラリーマンである夫が死亡したときに支給されるのが、遺族厚生年金と遺族基礎年金です。遺族基礎年金は18歳年度末まで(一定の障害がある子は20歳)の子供がいることが条件となります。一方子供の有無にかかわらず支給されるのが遺族厚生年金です。従って子供がいないサラリーマンの妻には遺族厚生年金のみが支給されることになります。どちらも再婚等しない限り一生涯受け取ることができます。

「一生涯受取り」の原則が崩れる

この一生涯受取できるという「安心感」は残された遺族にとってかけがえのないものですが、この安心感を一部の人が享受できなくなる!というのが今回の改正です。

その一部の人とは、「30歳未満の子供がいない妻」ということになります。この30歳未満の子供がいない妻に対する遺族厚生年金は「5年間の期限付き」となります。今まで一生涯受取りできていたものが、5年間しか受け取れなくなるわけで、かなりひどい改悪と言えるでしょう。

子供がいない妻は、元々遺族基礎年金を受け取る資格がありませんので、5年後は公的年金からの遺族保障は全くなくなってしまいます。同じ子供がいない配偶者でも30歳になっていれば原則一生涯保障され、29歳だと5年間のみの保障となりますので、30歳が大きなターニングポイント、「運命の分かれ道」となってしまいます。

実態誰が影響を受けるのか確認しましょう。

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