文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)

国から支給される年金は長期にわたり私たちの生活の基礎を支える大切な社会保障給付です。ですから急激な物価上昇などにより貨幣価値が損なわれないようにするために、1973年(昭和48年11月1日~)に物価スライド制が導入されました。

導入された当時の「物価スライド制」は、消費者物価指数が1年度または2年度以上の期間に5%を超えて変動した場合は、その変動した比率を基準として、年金額の改定を行うというものでした。

平成元年には、年金額の実質的価値を維持するという趣旨を徹底して、5%枠を取り外して物価上昇率に応じて年金額が必ず改定される、完全自動物価スライド方式になりました。例えば平成12年の消費者物価が前年の11年に比べてプラスで、物価が1%上昇しているならば、翌年、平成13年4月からの年金額は1%分上昇させ、実質的な貨幣価値を守るようにしているわけです。

さて、実際のところはどうだったのでしょうか。
平成12年は11年と比べてマイナス0.7%程度と見込まれています。この数字を自動的に年金額に連動させると、平成13年度からの年金額はマイナス0.7%の減額となるはずですね。加えて、昨年もマイナス0.3%だったのですが、同様に特例措置を講じて年金額を据え置いてきましたから、2年分を合わせると、1%の減額となるのが本来の年金額なのです。

実際の年金額にあてはめてどのぐらい年金額が減額するかみてみると・・・
1)国民年金を月額6万7,000円受給している場合は、670円の減額
2)厚生年金を月額24万円受給している場合は、
  2,400円の減額

しかし、平成12年10月分の年金からは介護保険の保険料徴収もはじまっており、景気が低迷する中で、さらに減額措置をとると高齢者の生活を圧迫しかねないという判断から、年金額が据え置かれることになったわけです。

参議院選挙をにらんでの決定だったのかもしれませんが、高齢化の影響によって年金財政は厳しさを増していますから、特例措置による財政への影響も気になるところですよね。確かに、低金利で預貯金の金利で生活費の補填をするのが難しくなっている現状では、大盤振る舞いもいたしかたないのかもしれません。だけど、次世代へもうこれ以上「つけ」をまわすのだけは勘弁して欲しいものです。

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