給付と負担のバランスによって保険料や年金額が決まる年金制度は、超少子高齢社会では存続が難しい… |
年金一元化に着手しても、高齢者の既得権は保障される
最近、年金の一元化…という言葉を見聞きする機会が増えており、すでに年金を受給している高齢者からも「自分達の年金にどのような影響があるのだろう」と不安の声があがっていますが、仮に全部の公的年金制度が一元化されるとしても、一気に過去も現在もみらいも同じ制度になるわけではありません。ほとんどの既得権が保障されるからです。仮に近い将来に大掛かりな年金改革が行なわれたとしても、今の制度がリセットされ一からやり直すことは絶対にないといえるでしょう。過去の大規模な改革をみても、既得権は経過措置として残されており、現に高齢者の中には旧法にならって年金を受取っているがおられるからです。
ただ、現役世代の賃金水準と比較する給付水準については、加齢とともに低くなることは明らかです。これは、平成16年の改正で導入されることとなってマクロ経済スライドが適用されますし、年金額改定が賃金ではなく物価に連動して見直されることになっていますから、現役男子の手取り賃金を基準にするとゆるやかに給付水準は低下していくわけです。
参考:制度別の平均年金支給月額
40年加入した場合に受取れる老齢基礎年金の月額はチェックしておこう
平成17年度の老齢基礎年金の満額(40年加入した場合)は、79万4500円で、1ヶ月あたりの目安額としては6万6000円です。これは、1人あたりの老後の基本的な生活費をまかなえる金額とみなされており、高齢者が介護保険や高齢者医療の給付を受けた場合にも、1ヶ月あたりで自己負担できる金額を定める場合に参考にされています。
今後厚生年金や共済年金といった報酬比例年金については、給付を大幅に抑制する改革が行なわれるかも知れませんが、国民が健康で文化的な最低限の生活を保障されている限り(憲法第25条)、基礎年金(国民年金)はそれを保障するための年金と位置付けられて、今後についても老後の生活保障年金としての一つの目安になるのではないかとみています。
公的年金は社会保険方式で運営されているので、保険料を滞納すれば年金は受取れないことがある
しまった!と思っても、遅い!保険料納付要件をクリアーしなければ年金は受取れない… |
このように、わが国の公的年金制度は社会保険方式によって運営されているために、現役で収入がある期間に加入して保険料を負担することが前提となっています。もちろん、低所得で保険料を納付することが困難な場合などには保険料を免除する制度がありますし、国内に住所がない場合には国民年金に任意加入する道も開かれており、きちんと手続きをとることで将来の年金受給権は保障されています。
これからの自分の人生を楽しく豊かなものとするためには、マネープランは不可欠です。そして、所得保障のベースとなる公的年金の守備範囲をチェックすることを忘れないようにして、合理的なマネープランを立ててください。