しっかり比べて違いを知ろう! |
違いを知ろう!国民年金 VS.生活保護
ここからは、日本の社会保障制度である国民年金(老齢基礎年金)と生活保護の違いをみていきましょう。●誰がもらえる?
【国民年金】
国民年金を受給するためには、保険料を払うことが必要です。これは、国民年金制度が、「国民すべてが相互に支え合う」という考えのもと、共同連帯によって健全な国民生活の維持と向上に寄与するという目的をもつ社会保険の制度だからです。
国民年金から支給される老齢基礎年金の場合、原則25年以上、保険料(現在13,860円、免除制度有り)を納めていることが要件になります(「35歳まで!年金加入期間を必ずチェック」参照)。また、その他の年齢などの要件も満たした人に支給されます。
【生活保護】
生活保護は、前述のように、「公的扶助」の制度ですので、生活に困窮している人が、その程度に応じ、国から必要な扶助を受けることができます。ただし、その資産、能力等すべてを活用した上でも生活に困窮する人を対象としています。具体的には、生活保護が必要か否か、決定する前にさまざまな角度から調査が行われます。
まず、資産の調査が行われます。預貯金があれば預貯金を生活費に充てることはもちろん、売却できる不動産などの資産は売却して生活費に充てなければなりません。次に、働く能力のある人は働くことが優先されます。さらに、親族間の扶養義務も重視されます。別居している親族や配偶者にも扶養を求められます。また、他の法律によって受けられる給付があれば、そちらが優先されます。
●いくらもらえる?
【国民年金】
国民年金から支給される老齢基礎年金は、定額支給が原則です。40年間保険料を払うと満額となり、年金月額は約6.6万円です。夫婦2人で合わせると年金月額約13万円となります。なお、保険料を納めなかった月数や免除を受けた月数があると年金額は減少します(「すぐわかる!年金額の計算方法」参照)。また、老齢基礎年金については、その人の収入や所得に関係なく支給されます。
【生活保護】
保護費全ての基準になるのは、住んでいる市(区)町村です。全国の市(区)町村を6つのグループに分類し、物価差などを反映して、それぞれの基準額を設定しています。生活扶助基準は、衣食などの日常生活に必要な基本的な最低生活費を表しますが、以下のような構成となっており、基本となる基準額に特別の需要のある人の場合には、さらに各種の加算が合算されるしくみとなっています。
ちなみに、高齢者夫婦(68歳、65歳)世帯への生活扶助基準(各種加算・その他扶助除く)では、東京都区部等で約12万円、地方郡部等で約9.4万円となっています(平成16年度1月あたりの支給額例、厚生労働省発表による)。
なお、生活保護費は、国民年金と違って、何らかの収入(働いて得た収入に限らず、家族からの仕送りや家財の処分による収入も含む)があったり、入院や施設への入居によって食費などの生活費が不要になったりすると減額されます。
●どこで手続きする?
【国民年金】
年金は、もらう権利のある人が、受給するための請求手続きを行うことによって、受け取ることができる制度です。この「裁定請求」の手続きは、加入歴によって異なりますが、国民年金のみの人であれば、住所地の市(区)役所等や社会保険事務所などで行います。
【生活保護】
生活保護の実施機関は、市及び都道府県(町村部)に設置されている福祉事務所ですが、多くの福祉事務所は市役所等の中にあります。この福祉事務所で生活保護の申請を受け付け、保護の対象になるかどうか調査を行い、調査の結果、収入が最低生活費に満たないと判断されると、保護費の支給が決定します。
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