大切な保険料なのにどうして? |
保険料を払わない人がいるけど・・・
前述のように、公的年金制度は、加入者がそれぞれ保険料を払うことで制度を支え、また、保険料を納めた期間によって、将来の年金給付を受けることができるような仕組みです。しかしながら、実際には、若い世代を中心に「自分が年金をもらう年齢になったときに、年金制度が存在するのかどうか不安だから」という理由で国民年金の保険料を納めない人が増えています。
自分で保険料を納める義務がある国民年金第1号被保険者のうち、保険料を納めていない人(免除者除く)の割合は32.9%です(平成17年度)。未納率は若干改善されたとはいえ、このことが年金制度の将来を危ぶむ声をいっそう大きくしている1つの要因といえます。
確かに、若い世代で低い給与で働いている人にとっては、定額の保険料の支払は困難な場合があるでしょう。そのような場合は、一時的に保険料を免除できる仕組みがあります(「年金の免除制度について正しく知ろう」参照)。
しかしながら、保険料を納めることができる所得はありながら、国民年金の保険料を納めていない人も多く存在します。
下図の第1号被保険者世帯の総所得金額の分布をみてください。納付者と未納者の世帯所得を比較すると、未納者の占める割合は、低所得者層で、納付者より高くなっています。しかしながら、納付者と未納者の分布にはそれほど大きな違いはなく、高所得者層であっても未納者が存在しています。
また、国民年金保険料の未納者のうち、約50%が、一般の生命保険に加入しているといった調査結果もあります。
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前述のように国民年金は20歳から60歳までの全国民(公的年金加入者約7000万人)が支える制度です。この公的制度全体で考えると未加入、未納者の人数は約400万人で、公的年金加入対象者数の約5%にすぎません(平成17年度)。また、公的年金は保険料を納めない人は将来年金をもらえないという社会保険方式で成り立っているので、保険料の未納期間部分についての年金給付はなく、そのことが直接には年金制度を崩壊させる要素とはならないでしょう。
しかしながら、未納者が増加すると、社会全体で高齢者を支える世代間扶養という仕組みをとっている公的年金制度への信頼を損なってしまうことにつながります。
少子高齢化の影響により、給付水準の引下げ、保険料の引上げ、支給開始年齢の引上げなどが重なって、年金制度への信頼は低下してきたことは確かです。しかし、ここで、もう一度、考えてみてください。将来、自分の子供達からの私的扶養に頼ることなく、自立した老後生活を送るためにも、公的年金制度の存在意義や役割を理解することが重要でしょう。年金制度は加入者の理解と信頼があり、保険料がきちんと納められていけば、将来へと安定的に維持されていくことでしょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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