年金額は時代とともに動く!?年金額を変更する仕組みをご案内します!
老齢年金は老後の大切な収入の1つです。受給資格を満たした後、一定の年齢になって請求の手続きをすると、一生涯受け取ることができます。

また、年金には、物価や賃金の変動に合わせて、支給額を毎年度見直す仕組みがあります。今回は、平成19年度の年金額がどのように変わったのか、どんな仕組みで変わったのかご案内します。
 

年金額を改定する仕組み


毎年4月になると新年度が始まりますが、年金をもらっている人に支給されている年金額も、前年1年間(1月~12月)の物価や賃金等の変動を受けて改定されます。平成16年の年金法改正により、年金額を改定する仕組みが以下のように改められました。簡単に解説していきましょう。
 
  1. 新規裁定者の年金額
    「新規裁定者」とは、68歳到達年度(68歳の誕生日が属する年度)前の年金をもらっている人を指します。新規裁定者の年金額は、手取り賃金の伸びを物価変動率で調整して実質値にした率(「名目手取り賃金変動率」といいます)を基準とした「改定率」で年金額を改定します。

  2. 既裁定者の年金額
    「既裁定者」とは、68歳到達年度以後の年金をもらっている人を指します。既裁定者の年金は、物価の伸び(「物価変動率」といいます)を基準とした「改定率」で年金額を改定します。

では、平成19年度の年金額を決定する要素である平成18年の変動率はどうだったのでしょうか?平成18年は物価が上昇し、全国消費者物価指数は前年に比べて「プラス0.3%」でしたが、名目手取り賃金変動率は「0.0%(変動なし)」、でした。このため、物価変動率は1.003、名目手取り賃金変動率は1.000となりました。

この変動率のまま年金額の改定が行われるすると、新規裁定者の年金額は前年度と同じ額、既裁定者は前年度より0.3%上昇となってしまいます。これは、年齢によって受給する年金額に差が出てしまい不公平と言えます。このような事態を避けるため、平成16年の改正では以下のような例外の仕組みも取り入れられました。
 
条   件 改定の基準
(1)物価変動率>1>名目手取り賃金変動率 1(変動なし)
(2)1≧物価変動率>名目手取り賃金変動率 物価変動率
(3)物価変動率>名目手取り賃金変動率≧1 名目手取り賃金変動率

※(1)~(3)の条件に該当する年度は、新既裁定者とも同じ改定の基準となる


今年度は、上記(3)の条件に該当するので、改定の基準は「名目手取り賃金変動率」となります。その結果、平成19年度の改定率は「1.000」となりました。
 

「物価スライド特例」って何?


前述のように、前年の物価の変動を受けて翌年度の年金額が改定されてきましたが、平成11年から平成13年までの物価下落分である-1.7%については、翌年の年金額改定に反映されませんでした。

この凍結された物価下落分を全て年金額に反映させると、年金の支給額が一気に低くなってしまいます。平成16年の年金法改正でも、実際に支給される年金額には物価下落による保留分を反映せず、今後物価が上昇していく中で解消していくという経過措置がとられました。この経過措置のことを「物価スライド特例措置」といいます。したがって、現在支給されている年金額は、物価スライド特例措置により本来よりも高い水準で支給されていることになります。
 

※平成16年年金法改正の年金額と賃金,物価の推移の比較


なお、前述の通り、平成19年度については、前年の物価変動率はプラスとなりましたが、物価変動率(1.003)が名目手取り賃金変動率(1.000)を上回ったため、物価の上昇が年金額に反映されず、改定率は「1.000」となりました。そのため、保留となっている物価下落分(1.7%)も解消されていません。

今年度の年金額はいくら?(次ページへ)