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老齢厚生年金、働き続けると減るってホント?(2ページ目)

60歳以降、年金をもらいながら仕事を続けた場合の収入と年金の調整のしくみを解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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ちょっと難しい?!在職老齢年金の計算に挑戦!

在職老齢年金!事例で納得


昭和23年4月20日生まれのサイトウイチロウさんは、現在59歳の会社員です。60歳で定年退職を迎えますが、定年後も今の会社で再雇用され、65歳になるまでは仕事を続けるつもりです。

サイトウさんは、生年月日により60歳から報酬比例部分相当の老齢厚生年金を受け取ることができます。60歳からのサイトウさんの年金額(報酬比例部分)は概算額で135万円です。したがって、サイトウさんの60歳から63歳までの基本月額は以下のとおりです。
135万円÷12=112,500円

また、サイトウさんは64歳から定額部分の老齢厚生年金も受け取ることができます。サイトウさんの定額部分の年金額は概算額で73万円です。したがって、64歳からのサイトウさんの基本月額は以下のとおりです。
(135万円+73万円)÷12=173,333円

それでは、サイトウさんが以下の条件で仕事を続けた場合の在職老齢年金をそれぞれみていきましょう。
  1. 給与は20万円、賞与は7月と12月にそれぞれ15万円(ここでは60歳前の賞与も同額と仮定します)支給される条件で再雇用された場合
    1. 60歳~63歳まで

    2. 64歳~65歳まで

  2. 給与は50万円、賞与は7月と12月にそれぞれ60万円(60歳前の賞与も同額とします)支給される条件で再雇用された場合
    1. 60歳~63歳まで

    2. 64歳~65歳まで
 
  1. 給与は20万円、賞与は7月と12月にそれぞれ15万円支給される条件で再雇用された場合
    1. 60歳~63歳までの年金額
      毎月の給与と年2回の賞与から総報酬月額相当額は以下のとおりです。
      20万円+(15万円×2÷12)=225,000円

      基本月額が112,500円なので総報酬月額相当額を足すと28万円を超えます。
      112,500円+225,000円=337,500円>280,000円

      したがって、サイトウさんの老齢厚生年金は一部が支給停止されます。サイトウさんの年金の支給停止額を求める計算式は、基本月額と総報酬月額相当額から上記の表の(1)に該当します。それぞれの金額を当てはめると、
      (225,000円+112,500円?280,000円)×1/2=28,750円

      となり、サイトウさんが受け取る1ヵ月あたりの老齢厚生年金は以下のようになります。
      112,500円?28,750円=83,750円


       

    2. 64歳~65歳の年金額
      64歳からは定額部分の老齢厚生年金が支給されるので、サイトウさんの基本月額は173,333円になり、引き続き老齢厚生年金の一部が支給停止されます。
      173,333円+225,000円=398,333円>280,000円

      基本月額と総報酬月額相当額から、年金の支給停止額を求める計算式は60歳~63歳までと同じ計算式です。それぞれの金額を当てはめると
      (225,000円+173,333円?280,000円)×1/2=59,167円

      となり、サイトウさんが受け取る1ヵ月あたりの老齢厚生年金は以下のようになります。
      173,333円?59,167円=114,166円
       
       

      ※ここでは1円未満を四捨五入とします。


サイトウさんの収入が高い場合は…(次ページへ)
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